『魔法都市麻帆良』
The 15th Story/絡繰の姉妹


ここは女子寮の中にあるプールのような広さの大浴場、
昨晩エヴァンジェリンに襲われたショックからか元気のなかったネギ
その様子を見た3−Aの生徒達はそんなネギを元気づけるために浴場の更衣室に集まっていた

「さー、ネギ君は楓ちゃんとアキラに任せてあたしらは準備といこーかぁっ!」
「ん?――あ」

と、誰かが元気よく叫んだ瞬間、前触れ無く浴場に繋がる扉が開き
たまたまその近くに立っていた美空が出てきた人物を見て硬直し
何事かと皆が振り向くと、そこには皆もよく知る人物が立っていた

「「「「「「「あ」」」」」」」
「これはこれは」

中から現れた銀髪の侍女―――ノインは一礼し、水着姿の皆を見て首をかしげると

「皆様お揃いで――どうなされました?」
「ノ、ノインさんこそ……何やってんすか?」

その声に硬直の解けた美空が問うと
ノインは何を言っていると言わんばかりに首をかしげ

「体の洗浄ですが何か」
「せ、洗浄?」
「はい」

見ると、抱えている桶の中にはきれいに畳まれたタオルが何枚か見える
ただ、自分の体を“洗う”ではなく“洗浄”する、と言う言葉に首を捻る美空
ノインはそんな美空から背後の皆へ視線を移すと首をかしげ

「皆様こそ何をなさっておいでですか」
「あー、いやー、今日ネギ先生元気なかったじゃないっすか?」

どうにも冷たい印象の拭えないノインも言葉に軽く冷や汗をかく美空
そんな美空が言った言葉にノインは軽く思考し、頷くと

「そう言えば何やら神楽坂様に俵担ぎされていた記憶がございます
 …………改めて思考するに教師が登校拒否とは言語道断だと判断できますが?」
「うう……」

そう言いながらやや上方に半目を向けるノインの言葉に美空が思わず後ろを見ると

「(って何で皆他人のふりしてんの!?特に朝倉とハルナっ!これ考えたのあんたらでしょーがぁっ!!)」
「――春日様?」

慌てて振り向くと、ノインはさっきよりは幾分か柔らかい視線を美空に向けている
それに少し安心した美空は後頭部を掻くと

「い、いやぁまあ、……でさ、せっかくだから皆で元気づけてあげようかなぁとか」
「浴場で、しかも水着でやる意味はあるのかとお尋ねしたいのですが?」
「う……」

そこで詰まった美空にノインの視線が一気に冷たくなる
その目線の色に内心で頭を抱える美空だが
努めてそれを表に出さないように努力しつつ再度後頭部をかくと

「……えーっと…………ノリ?」
「……………………」

てへっ、と力無く笑った美空に絶対零度と形容できるような視線が突き刺さる
視線痛っ!痛ぁーーー!――と内心で身をよじる美空
ノインはそれを見て少々思案し、ややあってから視線の色を元に戻すと

「……わかりました、アルベルト様には伏せておきましょう」
「え?」
「ただし」

顔を上げる美空に間髪入れずにノインは言い
一拍の間をおいて念を押すように頷くと

「私が監視させていただきますが文句はございませんね?
 ……決してやりすぎないようにとお願いいたします」
「あ、あー……はい」
「では」

美空が頷くのを見てノインは踵を返すと浴場の中へ消えていく
おいて行かれる形になった生徒達は美空の恨みがましげな視線を無視しつつその後に続く


数分後、楓とアキラがネギを何故か袋詰めにして現れ
生徒曰く“ネギくんを元気づける会”をプールのような湯船からだいぶ離れた椅子に腰かけて眺めるノイン
ふと視線を外すと、女子中学生とは思えない身体を黒い水着で覆った真名が立っていた
それを見たノインが首を傾げると、真名は苦笑を浮かべ

「ノインさん?」
「何でしょうか龍宮様」

その言葉を聞いた真名は呆れたような視線を背後に向けると

「……あれは止めないのかい?」

その視線の先―――当然ノインも同じ方向を見ているが
そこでは元気づける会の名を借りたセクハラ大会が決行されていた
ノインは生徒達の嬌声とネギの悲鳴を無視しつつ
妙に冷えた視線を真名に向けると

「――あと少しで一線を越えるレベルだと判断しておこうと思っております
 本音を申せば今すぐにでも強制終了させたい気分だと判断できますが?」
「あー、つまりとんでもなくギリギリだけど一応セーフってことかい?」
「はい」

無表情に頷くノインに真名は苦笑を浮かべるとノインの隣の椅子に腰掛け

「全く、アルベルトさんもだけど貴女は厳しいのか甘いのかいまいちわからないね」
「使い分けていればどちらか解らなくなるのは至極当然かと」
「ああ、なるほどね」
「ご理解頂けて幸いでございます」

頷く真名に座りながら頭を下げるノイン
そこでプールの方に視線を向け、ややあってから目を伏せると

「――長瀬様、気配を消して背後に立つのはやめて頂きたいと進言します」

その声に真名が振り向くとノインの座る椅子の後ろに楓が立っていた
軽い驚きを浮かべる真名を見た楓は軽く頭を掻くと

「おや、ばれたでござるか」
「あちらの皆様の中から長瀬様が消えておりましたので」
「はは、かなわんでござるなぁ」

ノインは自分の言葉に楓が笑いながらそう言うのを見ると
椅子から立ち上がり、楓に対して頭を下げ

「それで、何か御用でございますか?」
「あいあい、ノイン殿、アルベルト殿のことで1つ聞きたいことがあるでござる」
「何でございましょうか?」

あい、と言いながら楓は頷いてノインと反対側の椅子に座り
視線の先でノインが同じように椅子に座るのを見ると話し出す

「前アルベルト殿に拙者と刹那の2人で挑んで……少々恥ずかしい話でござるが負けたでござるよ」

楓はそこで頭を掻くと、再度言葉を重ねる

「無論それはいたしかたないでござるが……
 あの時、アルベルト殿は本気だったのでござろうか?」
「本気……でございますか?」
「あい、刹那は一流の退魔の流派を修めており――」

そう言う楓の視線の先には制服のまま物陰に身を潜め
プールの中の木乃香をじっと見る刹那がいる
楓はそれを見て頷くと、更に言葉を重ねる

「――拙者とて甲賀の中忍、それなりの自負や意地はあるでござる
 ……拙者にはあの時アルベルト殿が本気だったとは思えないのでござる」

薄らと目を開き、鋭い視線で自分を見る楓にノインは変わらぬ表情で少し思案すると

「――私はアルベルト様自身ではないのではっきりと申すことはできませんが……おそらく本気であったと思われます」

ござ?と疑問符を浮かべる楓にノインは薄い微笑を浮かべ、頭を下げると

「アルベルト様はあれでも独逸の重騎師、それ相応の誇りは持ち合わせております
 相応の相手には相応の本気で挑むのが騎師の戦いでございますので」
「そうでござるか……」

と、いまいち納得のいっていない様子の楓
ノインはその様子を見て目を伏せ、しかしすぐに開けると

「長瀬様、本気と全力は違うものでございます
 2つは相互に関わり合うものではございますが全く同一の物ではありません
 長瀬様もそうでございましょう?」
「それは―――そうでござるが……」

何か思うところがあるのか言いよどむ楓にノインは一礼すると

「それに――アルベルト様は生身では全力を出せないと判断します」
「ん?」
「――それは何故でござるか?」
「アルベルト様は“重騎師”でございます故に」

ノインの言葉に理解の行っていない風に頭を傾げる楓と真名
それに何か言おうとしたノインだが
背後から聞こえて来た叫び声を聞いて椅子から立ち上がると

「――問題が起きましたか」

その声に弾かれたように同じ方向を見る楓と真名を片手で制止し
壁際に立てかけられたモップを足で跳ね上げて取り、指の動きで軽く回すと
2人に一礼すると叫び声の聞こえる方へ静かに歩いて行く

「ネギ!一体どうしたのよ!?」

叫び声を聞きつけたのかやってきた制服姿の明日菜
そこへ生徒たちの水着を剥ぐという奇怪な行動をとる小さな影が向かっていく

「ア、 アスナさ――――!?」
「え!?」

ネギが叫んだ瞬間
全く気配を感じさせない動きでノインが明日菜と影の間に現れる
ノインは手に持ったモップを下段に構えると

「―――っ」
『!?』

全身を回しながら放たれた一撃は的確に影を捕え、空中に弾き飛ばす
ノインはそのまま振りぬく動きで回転しながら明日菜のもつ桶に手を伸ばし

「―――お借りいたします」
「へ?」
「―――――ふっ!」

ノインは呆然とする明日菜の手から桶を取ると
呆然とする明日菜を無視し、もう一回転しながら空中の影めがけて投げつけた

『ふぎぁっ!?』

桶は寸分違わぬ狙いで影に命中し
その回転の勢いをもって窓の外へ弾き飛ばした
ノインはそれを見届けると明日菜に対して一礼し

「―――失礼いたしました神楽坂様」

と、上へ伸ばしたモップの柄が落下してきた桶を受け止める

「ノ、ノインさん……」
「スゴ……」
「カッコイイかも……」

と、感嘆の声を上げる生徒達を無視し
未だに呆然としている明日菜に視線を向けると

「神楽坂様、この学園にはあのような奇怪な生き物が頻繁に出現するのかと疑問します」

問われた明日菜は慌てて頭を横に振ると

「し、知らないわよ……」
「そうでございますか」

頷いたノインはプールの中の何人かに視線を止めると眉をひそめ

「――皆様、そろそろ水着を着直した方がよろしいと進言いたしますが?」
「「「「「!」」」」」

自分の声に慌てて水着を着直す皆を見て頷いたノインは
その光景に固まっているネギを見て吐息、明日菜にまた頭を下げると

「神楽坂様、スプリングフィールド様を引き取ってお帰り下さい
 この光景は正直目の毒だと判断します」
「う、うん……――ほらネギ!アンタも見ないで行くわよ!」
「わわっ、は、はい〜〜〜!」

と、慌てて出て行く2人を一礼して見送ったノインは楓と真名の所に戻る
そこで真名が呆れたような視線を影が飛び出して行った窓に向け

「ノインさん、―――何だったんだいアレは」

問われたノインは軽く思案し、とりあえずモップと桶を壁際に置くと

「外見はフェレットに代表されるイタチ科の動物に似ておりました
 細かい種類などは判断できかねますが色は白だったと記憶しております」
「そ、そうかい……、一体貴女はどんな動体視力をしてるんだい?
 私の眼でも何とか見える程度だったんだがね?」
「些細なことかと、しかし口惜しいと判断します
 あのような変態生物は次に何かする前に叩っ斬っておけば良かったと愚考します」

ノインはそう言いつつ窓の方にかなり鋭い視線を向ける
その様子を見て固まる2人を無視して再度一礼すると

「それでは私も失礼いたします」
「あ、ああ……」
「わ、わかったでござる……」

その声に2人が頷くのを見て微笑すると
元々持っていた桶を小脇に抱え、静かに浴場から去っていく


そんな事件?の翌日、アルベルト邸

アルベルトは目の前では妙に緊張した様子のネギと
その肩に乗った白い小動物を見て軽く溜息をつくと

「―――で、何だネギ先生、そのネズミは」
『ネズミじゃねーよオコジョ妖精だよ!
 俺っちを舐めてると痛い目に遭うぜ!!?』
「潰されたいか貴様?」
『アルベール・カモミールって言うしけたオコジョ妖精でやんす
 どうかお見知り置きを旦那』

威勢良く怒鳴ってきた小動物―――オコジョ妖精のアルベール・カモミールだが
アルベルトが竜帝の拳を握って一言呟いた瞬間にその威勢は崩れ落ち
己の骨格を無視した見事な土下座を見せるカモにアルベルトは半目を向け

「誰が旦那だ――で、敵わぬと分かった瞬間媚を売り出すとは中々舐めた性格のネズミだが
生き物を飼うなら許可が要るが……ちゃんと取ったろうな?」
「あ、はい、このかさんが取ってきてくれました!」

慌てて頷くネギにアルベルトはそうかと頷くと少し思案し

「―――で、何か俺に言うことはないのか?」
「ふぇ!?」

その言葉に何故か固まるネギだが
ややあってから慌てたように首を横に振ると

「――い、いえ、別にないです!」
「そうか、ならいい」

ネギはアルベルトが自分に半目を向けていることにも気付かずに去っていく
アルベルトはそれを見送り、ややあってから溜息をつくと

「――ふう、『何かあれば相談しろ』と言ったのを完全に忘れているなあれは、―――む?」

ふと見ると、ネギが出て言った襖からノインが現れる
手に買い物袋を提げた彼女はアルベルトに一礼すると

「アルベルト様、ただいま帰りました」
「ああ、遅かったな」
「申し訳ございません、それと―――お客様でございます」

そう言いながらノインが部屋の中に入ると
後ろからジャケットとGパンに身を包んだ赤髪の女性が現れる
その女性は微笑しながらアルベルトに頭を下げ

「おじゃましていますわアルベルトさん」
「お前は……確か紅華だったか」

アルベルトの声に女性―――絡繰・紅華はクスリと笑うと

「はい、そうですのよ?」
「何だ、昨日言っていた“説明”とやらに来たのか?」
「その通りですわ」
「どうぞ紅華様」
「あらどうも」

紅華がノインの持ってきた座椅子に腰掛け
ノインがアルベルトの横に控えるのを見て話し始める


数分後

「―――なるほどな、お前は絡繰……いや、茶々丸の試作機に当たるわけか」
「少々違いますが概ねそう言うことですわね、欠陥が多いせいで完成は茶々丸とほぼ同時期でしたの」

微笑を絶やさぬまま紅華が放った言葉にアルベルトは軽く首をひねると

「ん?――ではお前もエヴァンジェリンの従者なのか?」
「あらあら、それは全然違いますのよ」
「む?」

やんわりと否定する紅華にアルベルトが疑問の声を上げ
紅華はクスクスと口に手を当てて笑うと

「私は特定の主を持っていませんのよ、エヴァンジェリンさんの事は……まあぶっちゃけどうでもいいんですわ」
「ほう?」

自分の言葉に納得したように頷くアルベルト
それを見た紅華はふと笑みをやめると

「最も、私に欠陥がなければ――まあ試作機である以上そんな事はありえませんが
 私がエヴァンジェリンさんの従者になっていた可能性は高かったですわね」
「……じゃあどうでもよくないと俺は思うのだがな」

憮然とした顔で放たれたアルベルトの言葉に紅華は再び笑いだすと

「ふふ、本当にどうでもいいですのよ?何しろ茶々丸がいますから……心配は全くありませんの♪」
「―――ノイン、こいつからシスコンの気配がするのだがどうすればいい?」

臆面なく放たれた言葉にアルベルトが嫌そうな顔をしつつノインを見ると
ノインは座ったまま軽く頭を下げ

「それは個人の自由だと判断します」
「ふふ、それに私は欠陥から従者になれず、茶々丸は欠陥も無く従者になれたのですわ
 劣った私が優れた茶々丸を心配するなんて……情けなくってできませんわ♪」
「そんな軽い口調で言う台詞ではないよなぁ」
「そう判断できます」

――と、呟く主従に対して紅華は変わらぬ笑いのまま頭を下げると

「さて、とりあえず一通りは話しましたわ」
「そうか、わかった」
「ふふ、ところで―――貴方達はどうしますの?」

試すような顔で紅華が問いを放つと
アルベルトは顎に手を当てて軽く思案し

「ふむ、どっちかがどっちかを酷く害さん限りはどっちにも不干渉だ
 どちらも相談してこんのだからな、これくらいが妥当だろう」
「私は主に従うのみだと判断します」

軽く肩をすくめるアルベルトと無表情に頭を下げるノイン
それを見た紅華はそうですの、と頷き、ふと壁の時計を見て
あら、と呟いて立ち上がり

「では私はこれで失礼しますわ、――あの子達が待ってますの」
「あの子達?」
「ふふ、秘密ですのよ?」

笑いつつも全く話すつもりのなさそうな紅華
アルベルトもあまり気にしてい無さそうに頷くと

「――そうか、まあいい
ノイン、途中まで送ってやれ」
「かしこまりました」

2人が立ち上がって部屋の外へ歩いて行くが
襖のあたりで紅華が振り返ると

「ふふ、ではこれからもよろしくお願いしますわね?」

そう言って襖の影に消えた紅華の言葉にアルベルトは軽く溜息をつくと

「――……また面倒事になりそうだな、全く」


数分後、夕陽の照らす道路をノインと紅華が歩いている
おもむろに紅華が立ち止まり、後ろのノインに振り返って頭を下げると

「お見送りはここまででいいですの、わざわざ有難うございました」
「礼は不要だと判断します、では―――またお会いいたしましょう」
「はい」

紅華は一礼を返したノインが踵を返して歩き去っていくのを手を振って送ると
そのまま歩きだすが、しばらく歩いたところで先を歩く人影に目を止める

「――あら♪」

紅華は楽しそうに笑うと、足音を消してその人影に近づき
買い物帰りらしい自分の姉妹機―――茶々丸の背後に立つと

「ちゃーちゃーまーー……るっ!」
「っ!!」

言葉と共に足払いをかけて転ばせる
反射的に受け身をとる茶々丸だが、紅華はその隙をついて買い物袋を奪い取ると
逆の手の貫手の形にして茶々丸の眼前に突き付ける
驚きからか目を見開く自分の妹を見てクスリと笑うと

「はい、私の勝ちですわ、まだまだ甘いですわよ?」
「ね、姉さん……」

紅華がそう言いながら片手の買い物袋を見せると
茶々丸は軽く安心したように俯き、困ったような視線を向けると

「識別信号を切って近づくのはやめて下さい……」
「あらあら、それじゃあ勝負にならないでしょう?」
「いったい何の勝負ですか……」

自分の言葉に更に困ったような顔になる茶々丸に紅華はクスクスと笑うと

「気にしない気にしない、のですわー」

紅華はそう言って手の袋を軽く持ち上げると

「さて、これは姉さんが持ちますわね」
「あ……、大丈夫です」

私が持ちます、と言って手を出す茶々丸から袋を遠ざけ
首を傾げる茶々丸にわざとらしく笑うと

「いいんでーすの、姉さんが持ちたいから持つんですわ」
「は、はぁ、でも……」
「あら?この子は姉さんの言うことを聞きませんの?」

何か言おうとした茶々丸に紅華が口元のみの笑いを向けると
何故か黙ってうつむいた茶々丸だが、ややあってから諦めたように頷くと

「わ、わかりました……、じゃあお願いします」
「そうそう、茶々丸もあの子達みたいにもっと甘えなさいな、姉さんつまらないですわよ?」

自分の横に並んで歩きだす姉の言葉に茶々丸は首を軽く横に振ると

「姉さん、あれは甘えてるとは言わないと思います……」
「ふふ、皆素直じゃないだけですわ」
「はあ……」

楽しそうに笑う紅華に首を傾げる茶々丸
髪の色に黄緑と赤と言う違いや、アンテナのデザインに僅かな差異はあるものの
それ以外はとてもよく似た2人はそのまま夕焼けが差す通りを歩いて行く―――




15th Story後書き

『魔法都市麻帆良』15th Storyをお送りします
ここからは結構書きたいシーンが多いので以前よりは早くなる……と、思います
ちなみに、紅華は自分の弟妹機に対してのみ一人称が「姉さん」になります

アルベルトとノインの立ち位置はアルベルトの言った通りですが
心情的にはややエヴァンジェリン寄りになると思います

あと、私のカモの扱いはあんな物です
コモレビさんのようなかっこいいカモは私には無理です

これからもよろしくお願いします

それでは

〈続く〉

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