???内 広場?

「フン…」

ヤツが居た辺りは今、土煙がもうもうと立ち上がりヤツがどうなったか確認が出来ていない
だが手応えはあったし、相殺等された感じも無い

「やはりこの程度だった…か」

先程の雄叫びの時に感じた魔力、纏っていた雰囲気…
先に戦った時とは確実に違っていたヤツを見て私は少なからず期待をしていたのだったが
どうやら私の見込み違いだった様だな

「ケケケケケケ!!」

…まだやっていたのかチャチャゼロ。アイツは一度バラして調整し直さなければならんな…

「おい、茶々丸。」

茶々丸に向かって声を掛けたと同時に土煙の中から――

「氷結ともう一つの属性との複合じゃねえか!痛かったぞお子様!!」

――ヤツが土煙の中飛び出してきた
莫迦な、今のは直撃すればタダではすまない威力のはず…だがヤツは真っ直ぐ私に向かって飛び出して来ている

「チィッ!『氷楯(レフレクシオー)』!!」

兎に角、考えるのは後だ今は間合いを…

「『ドルミナー』」

間合いを開く事が出来ないまま私はヤツの声を最後に意識が急速に失われていく

「こ、こんな…手で……この私が…」

意識を手放す瞬間、私は目の前のヤツが何故か『アイツ』と重なって見えてしまった
姿形…人間であるかどうかも分からず、表情すらも読み取れないのにも関わらず
私を麻帆良の地に縛りつけ15年も待たされている『アイツ』の顔と―――





―――『闇の吹雪(ニウイス・テンペスタース・オブスクランス)』直撃直後

いっっってぇぇぇぇっっ………!
あっんのお子様!氷とか言っといてもう一つ属性付属してたじゃねーか!

「……。」

周りは見事に土煙が上がっていて何も見えないが、まださっきの場所にいるんだろうか…?
このまま反撃するのは当然としても、何をしてやろう…?
俺はまだまだ力は残っているけれども…何気に両腕にダメージ食らってる
…で、恐らくこの土煙でお互い状況が掴めてないから…何かやるなら今だな
でもこのタイミングでキッチリ決めておかないと後々マズイ…何か一撃で戦闘不能になりそうなのは…

「おい、茶々丸。」
「!!」

いた!まだ同じ場所に(飛んで)いるな!!
俺はお子様の声を聞いた直後、両足に力を入れてそのまま一気に飛び上がった
作戦なんて1つしか考えつかなかったが、速戦即決(意味合ってるかな?)ってコトで一気に突っ込む!!

「氷結ともう一つの属性との複合じゃねえか!痛かったぞお子様!!」
「チィッ!『氷楯』!!」

目の前に盾みたいなモノがいきなり現れたけど、コレは物理防御じゃ防げねーよ!

「『ドルミナー』!」

お子様の回りに眠りを誘う大小様々な泡が出てそのままお子様を包み込む…けど正直、ミスったら反撃確定なんだよね



……

………

「うし、成功」
俺は今先程までドSな微笑みで人に散々攻撃しまくっていたお子様を抱えて、作戦(?)が成功したことに満足していた
…けれども

「ケケケケケケケ!!!!」

…まだ続いているんだ
アレは1回殴ってやれば直ぐ解けるんだけども、お姉さん(?)には全く手を出せてはいなかったようで未だに続いている
何か茶々丸ちゃんにスゲェ悪い事しているような気がしてきたな…
もういいか、お子様は大人しくなったし…

「『パトラ』」

手を殺戮人形にかざして混乱を治療する魔法をかけた
ちなみにこの魔法は混乱の他に魅了と睡眠も治療する事の出来る便利なヤツだ

「ケケケケケケケケ……ケ?…妹ヨ、何シテルンダ?」
「姉さんは今まで幻術にかかっていました。」
「何ィ!?ジャア、サッキマデオレが気持チヨク斬リ刻ンデイタノハ…」
「はい、幻術です。」
「チィックショオォォォォ!!」

あー、悔しがってるな人形
まぁ何時の間にやら終ってて、かつ自分は幻見てたんだからなぁ…ちょっとは同情しても…

「モット続ケテイタカッタァァァ!!」

…しなくていいな、ってかもっと早めに解いてやればよかったな

「デ?ゴ主人ハドーシタ?」
「それは…」
「おーい、こっちこっち!」

そろそろ終らせんとグダグダになってきそうだし、俺は2人(?)を手招きで呼び寄せた







……

………

「アハハハハハッ!!ソーカ、負ケチマッタカ、ゴ主人!」

…ただ今殺戮人形もといチャチャゼロが事の結末を聞いて俺の目の前で大爆笑中
俺は茶々丸ちゃんに淹れて貰った緑茶で一服の最中
因みに椅子、テーブル含む道具一式は奥にいたメイドさん達(人形らしい)に用意して貰いました

「シカモ『マタ』ショーモナイ負ケ方ミテーダナ」
「…また?」

結構負け込んでるんだな…デカイ態度とは裏腹に……

「オウヨ、15年前ニモゴ主人ハショーモナイ手段デ負ケテナァ。ケーッケッケ!!」
「ふーん…」
「ン?興味無イノカ?」

まぁ、無いって言えば嘘だけども…

「いや、今俺が15年も前の事聞いたってなぁ…なんつーか……どうでもいいかもって感じがしてさ」
「マァ聞キタカッタラゴ主人ニ直接聞イテミナ、確実ニブッ飛バサレルゼ」
「ダメじゃねえか…(ズズ…)」

このお茶かなり美味いな…
お茶葉、良いの使ってるのかな…
いや、淹れ方にも何かコツがあるのかも…



……

………

「…ッテ何ィ!?15年ダァ!?」

今俺かなり重要な事をスルーしようとしなかったか!?15年って一体どういうことだ!?
ってあのお子様は一体何歳だ!?

「オイオイ、落チ着ケ。喋リ方ガ俺ミタクナッテルゾ」
「いやいや、チャチャゼロ落ち着け無いって。今の話が本当なら、あのお子様は一体幾つになるんだ?
 どう見たって10歳位だろ?」

若作りってレベルじゃねえ、人体改造レベルだぞあれは

「…女の年齢を図々しく聞くものじゃ無い、此花始。
 それと、私の名前はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ」

向こうから少しバツの悪い表情で、威厳50%減のエヴァンジェリンがこっちに来た

「おはようございます、マスター」
「あぁ…」
「おー、起きたな」
「…フン」

あー…かなり機嫌悪いな、コレ

「これから少し話しがあるが、その前に一つ聞きたい事がある」
「ん?何?」
「…先程の戦いの事だ」

…何か変な事でもしたか?俺?

「何故あのような終らせ方にした?私はお前を殺すつもりでチャチャゼロと茶々丸を仕向け魔法も使った」

アンタ、マジで殺すつもりだったんか…

「だがお前は2人の足を止め、私を眠らせる事だけで決着をつけた」
「……。」
「何故お前がこの程度で終らせたのか、その真意を聞きたい」
「言わないとダメか?」
「駄目だ」

目を見る限り、本気の意志が伝わってくるが…
こっちとしては…まぁ、大した事ではないんだよなぁ

「…大した理由なんてのものは無いさ、ただ単にケンカで殺す殺されるってのも無い……って思っただけさ」
「……は?」
「もっと砕いて言えば、ガチってる最中なんさ何一つ考えて無かったよ」
「なん……だと……?」

あ……何か怒らせた?地雷踏んだ?
さっき俺が「お子様」って言った時みたくプルプルと震えてるんだけども…

「ア―――ッハッハッハ!!!
 何も考えてなかっただと!?この私が、何も考えていなかった若造にいい様にやられたというのか!?」

アレ?爆笑?笑う所?ココ?

「ハッハッハ…いや、すまなかったな此花始。あまりにも可笑しくてな……」
「…いや、気にすんな」

マジ笑いな訳?少し目に涙浮かんでるんだよ、このお方…

「フ…」

今度はこっちを見定める様に睨んでらっしゃいますが…

「此処までされてはもう何も出来ん、此花始
 お前を認め、これからは私の客人として存分にもてなそう」
「…はい?どういう事?」

俺としては事の起こり(バトった部分は知ってる)がさっぱりなので全く飲み込めて無い

「…つまりお前を『侵入者』から『客人』として扱うと言っている」
「……えーーーっと」
「つまり!もう私からお前に不意に無意味に問答無用で攻撃はしないと言っているのだ!!いい加減理解しろっ!!!」
「…おぉっ」

とりあえずこれ以上ガチる事は無くなったって事で理解しておこう
このまま行くとエヴァンジェリンがもう一度キレて再戦って事にになりそうだ

「それにしても…」
「ん?何かあるのか?」
「エヴァンジェリンって長いし言い辛いなぁ…って思って……」
「何を急に…」
「…『エヴァ』って呼んで良い?俺の事は『始』で良いからさ、そっちだって毎回『此花始』ってフルネーム
 で呼んでたら言い辛いだろうし」
「フン……どうせ嫌と言っても勝手に呼ぶのだろう?好きにすればいい」
「おぉっ、良く分かったねぇ」
「…フッ」
「ハハッ」
「「アッハッハッハッハ!!!」」






…おかしな男だ、敵として対峙し命のやり取りをしていたのにも関わらず
――いや、その認識すら私と始では違うのだろう
私の事をそこらの小娘と同じに見て、真祖の吸血鬼であり『闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)
である事を知ってもコレということも無く流した
流石に最初は癪に障ったが今となっては不思議と侮辱された等の「負の感情」といった物は沸いてこない
むしろ沸いて来るのは『アイツ』と出合った時に感じたモノ
この地に縛れ、半ば諦めていた私が再びこんな感情を抱けるとはな…






まぁ、なにはともあれ
なんだかエヴァとはかなり気が合いそうな気がするな
最初は…まぁ(一方的な)殺し合いっぽいので始まったが
こうして意気投合して一緒に笑えるんだから結果オーライってヤツだよなぁ、うん












…色々と忘れている気がするけどな

















「妹ヨ、俺達ハ空気扱イカ?」
「あぁ…マスター、とても嬉しそう」










あとがき

本当は8日に4話をメールで送る予定だったのですが…
8日Gジェネにどっぷりハマって、15日は墓参り帰りに送ろうと思ったら既に更新されている><
…色々とずっこけてしまったS’です
今回のGジェネは自分的としては「当たり」と思っています…もうちょっとオリキャラ多くても良かった感じはしますが
Wゼロ、Wゼロ(EW)、エピオン、00が今の主力です。思いっきり系列偏ってますがw

しょうもない手口で決着が付いたVSエヴァンゲリン戦いかがだったでしょうか?
スプラッタにするのもされるのも如何かと思ってこんな手口にしてみました
次回から他のキャラクターとも少しずつ絡んでいくので、是非読んでやって下さい

〈続く〉

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