―――午前5:00分 エヴァ宅前

「おお、エヴァの言った通りだ」

現在朝の5時、東の空には朝日が昇っている

「あんだけ食って、呑んで、騒いだってのに、1日も経っていないってんだものなぁ
 これが精神と時……じゃない、魔法なんだな」

家の新聞受けに入っていた新聞の日付を確認して、思わず呟く

昨日、エヴァ達と戦って、意気投合した後に数日に渡る(『別荘』内で)大宴会を催した
宴会はめっちゃ面白かった…
普通にエヴァをからかったり、チャチャゼロと一緒にエヴァをからかったり、茶々丸と一緒にエヴァをからかったり

…エヴァいぢりしかしてなかったっけ?

いやいやいや他のもちゃんと覚えてるぞ、麻婆豆腐…エビチリ…蒸し餃子…

…食べた食い物?いやいやいや

そういえば、あそこってワインしか無かったな
チャチャゼロが「ゴ主人秘蔵ノ逸品ダ」って持ってきたヤツ本気で美味かったよなぁ



……

………

…まぁ、楽しかったんだからいいか


今、向かっているのはエヴァ曰く『昨日俺と最初に戦って勝った場所』という『さくら通り』

「…一言多いなぁ、エヴァ」

何故かと言うとバイク及び荷物を回収する為…なんで宴会が終わる迄気付かなかったんだろうなぁ
戦ってた時といい、今といい物忘れが激しいなぁ俺……痴呆症とかじゃねえよな?



……

………

…で『さくら通り』に到着、茶々丸に聞いた場所に行ってみると、見事にマイ・バイク発見





……血塗れで軽くスプラッタ入ってましたがね





何故!?





そういや、『別荘』で目が覚めた時着ていた服が違っていたんだよな
コレってこのバイクの惨状と何か関係があるのか…?

ん〜……ちょっとエヴァん所で状況を整理してみるか
バイクや荷物は無事(血塗れ以外)だけどもこのままって訳にはいかねぇ
少なくとも血塗れになった原因と落とし前はキチンとつけねぇとなぁ……はっはっは









「…と、いう訳で状況を整理する為に色々と話を聞きたいんだが」
「……人の寝起きを襲っておいて言うことはそれだけか!?始!?」

所変わってエヴァ宅のリビング
俺、エヴァ、茶々丸とチャチャゼロが集まり、状況整理とエヴァいぢりの2つを同時進行するのにこの上無い布陣だ
因みに茶々丸はメイド服、エヴァは寝巻き

「チャチャゼロは何でくたびれた様な格好なのさ?」
「アア、ゴ主人ガへっぽこナ呪イノセイデ力ガ出セナクナッタ影響デナ…」
「……フン」

あらら…エヴァが急に機嫌悪くなっちまったよ
まぁ人には触れられたくない過去ってヤツがあるからなぁ……

「茶々丸、最初に俺とエヴァが戦った後の事を聞きたいんだ、簡単でいいから教えてくれないか?」
「わかりました」

速攻で話題を変えました。



……

………

「…という事です」

濃すぎる内容だったなぁ…
暴走してて、殺されて、蘇生して、変身解けて、『別荘』に入れられて、着替えさせられて、ベッドに寝かせられた…と
ってか途中俺すっぽんぽんにされてたんじゃねえのか!?///

「あぁ服の事は気にするな、勝手に置いていったヤツのだからな」
「別に着れてるし気にはしてねえよ…」

すっぽんぽんに比べたら大した事ねぇからな

「…着替えの事はともかく、俺のバイクや最初着ていた服に付いてた血の事はエヴァ達じゃないんだな」
「そうだ、私たちが見た時には既にあの姿だったのだからな…それに私達と戦っていた時、バイクに対して何かしていたか?」
「…やってるようには見えなかったな」

エヴァ達じゃないってならその前って事になる…って言ったらあの鬼みたいなヤツらだよな?
でもそれも一つ聞いておきたい事がある

「なぁエヴァ、瞬間移動とか出来る魔法ってある?」
「ほぅ…」

あれ?何でイイ笑顔?

「可能だぞ、始。ただ、転移魔法は上級の部類に入る為そんじょそこらの魔法使いに出来る芸当ではないぞ」

イイ笑顔のまま解説を始めるエヴァ、さっきの不機嫌さは何処吹く風か…

「あー…出来る事は出来るんだよな」
「そうだ距離、対象、媒介等でも術者の技量が問われる。まぁ、補助や複数で行った場合は別だな―(早口)」

はい?今何て言った?早口な上に聞いた事無い単語がてんこ盛りなんですけど?

「―この補助とは何も道具に限った事ではない、魔方陣やルーンの様な―(早口)」

え?また単語増えた?ちょっと待てそんなに一気に喋るな!頭ん中で処理しk…

「但し、この麻帆良学園都市内には結界が常時展開されていて、このレベルの魔法を使えば直ぐに―(早口)」

…ボンッ!!

聞き間違いじゃねぇ、今確かに俺の頭が破裂する音が聞こえて…

「…おぉぅ」

目の前がぐわんぐわん揺れている…

「クックックッ…アッハッハッハッハッハッハッ!!!
 如何した始?まさか今の話を聞いていただけで頭がパンクでもしたのか?アーッハッハッハ!!」
「オ?思ワヌ所デ弱点発覚カ?」

その通りだよコノヤロウ!…って啖呵切ってやりたいが未だに頭の方の再起動が済んでいない

「まぁ掻い摘んで言えば瞬間移動…つまり転移の魔法は可能だが、この学園都市内で又は外から結界内に入ろうと
 行えば直ちに私に感知される……この説明で分かるか?始?……クックック」

幾らなんでもそこまで噛み砕いてれば十分に分かる

「分かる…ってか最初からそう言ってくれ」
「フフ…なに、お前の表情を見て少しカマを掛けてみただけだったが、十分過ぎる結果だったな」
「…あーそれは良かったねぃ」
「人の寝込みを襲撃した罰と知れ」

…そう来ましたか

「…まぁ過ぎた事に何時までも執着するな」
「阿呆、未だ30分程度しか経っていないだろうが」
「んな事言っても過去は過去、ハイ!次の話題に進もう!」
「何が過去だ!さらりと水に流そうとするんじゃない!!」
「オイ、ゴ主人良イ様ニ遊バレテルンジャネェカ?ケケケケケ」
「五月蝿いぞ!チャチャゼロ!!」
「お茶のおかわりは如何ですか?始さん?」
「お、ありがとー茶々丸」

バァン!!!!!

「聞けぇーーーーーーーーーー!!!!!」

思いっきりテーブル叩いて、思いっきり叫んだ。エヴァ火山大噴火…とでも例えておくか

「まぁまぁ、とりあえずマジで次の話題に行っていい?」
「ハァッ…ハァッ…ハァッ…始…お前はぁ…」
「エヴァはキツそうだから少し休んでな(笑)…で、茶々丸」
「はい、なんでしょうか?」
「さっきエヴァが『私に感知される』って言ってたけれども、他に感知出来る人っているのか??」

そう言うと茶々丸は少し考えてる様な素振りを見せてから答えてくれた
多分さっきの様な事にならない様に配慮してくれたのだろう

「…麻帆良学園内全ての魔法先生、又は生徒で結界にリンクしているマスター以外結界の事を感知出来るのは
 麻帆良学園のトップである近衛学園長だけだと推測します
 結界内に侵入、又は転移魔法等の魔力の波動は近衛学園長に感知された後、携帯電話か念話にて関係者に連絡されます
 また、一部補足致しますとマスターは近衛学園長よりも早く、正確に感知できます」
「フフ…どうだ?凄いだろう?」

復活したエヴァが得意げに(無い)胸を張ってきたので…

「ほう敏感肌か?それとも感度が良いのか?」

なんて言ってやりましたよ、そしたら…

ブーーーーーーーッ!!!

「うぉっ!!何しやがる!?」

思いっきり口に含んでいた紅茶が俺に向かって飛んできやがった
突然の出来事でかわす事も出来ずに見事直撃してしまった…

「な、な、なにが感度だ!?巫山戯るな!!」
「お前がふざけんなっての!何楽しくて紅茶の直撃食らわなきゃならねぇっての!?」
「アレはお前があんな事を言わなければなぁ!」
「ほう、600歳とか言ってる割にはなかなかに初心ですなぁエヴァさん(笑)いやいや可愛らしい所もあるもんだ」

『可愛らしい』辺りからエヴァの顔が耳まで真っ赤になって目も泳いできた

「…な」
「な?」
「なにを言うかぁ―――――――――!!!!!」

本日2度目のエヴァ火山噴火
今回はテーブルに上って(四つんばいの体勢で)俺の両頬を引っ張っている…まぁ、大して痛くは無いんだが

「いひゃいいひゃい」

でも言っておいてやろう

「このぉ〜〜〜〜!!!」

…暫くは収まりそうにならなさそうなので
チャチャゼロか茶々丸に助けを求めよう……伝家の宝刀『アイコンタクト』で

「ケケケケケケケ!!良イ様ダナゴ主人!!」

助ける気0%だなチャチャゼロ

「あぁ、マスターがあんなに楽しそうに…」

トリップしないで下さい、茶々丸。君がエヴァファミリーで唯一の良心なんだから

「このっ、このっ!このっ!!」

まだ続くんだなぁ…誰でも良いから止めてくれないかな…なんて都合の良い事を考えてたら

「お〜いエヴァ〜居るかい?」

本当に誰か来た…

「ん?」
「オ?」
「ふぉえ?」
「……」

上からエヴァ、チャチャゼロ、俺、茶々丸の反応
…で誰?このMrダンディさんは?ってか少し固まってないかい?右手の煙草落ちそうだよ

「何の用だタカミチ?」

ほう、Mrダンディとお知り合いですかね
…エヴァそろそろ手離せ

「…えっ!?いや悪いね、少し驚いてしまってね…ハハハ」

笑顔が少し硬いですよMrダンディ
…エヴァいい加減手離せ

「そうか、なら帰れ」

帰すなよ!?ってかエヴァもう手離せよ!!

「ふぉい、いいひゃげんひふぇほはふぁふぇ(おい、いい加減手を離せ))」
「んん?何言っているか分からんなぁ」

…ムカ

「はふぁふぇ、ふぁんぼふひふび(離せ、陥没乳首)」

…ビッ!!

頬を抓ったまま思いっきり左右に引っ張りながら手を離しやがった

「いっっってぇ!!」
「誰が陥没乳首だ!?」
「十分通じてるんじゃねーか!離せよ早く!」
「誰にそんな物事を言っていると思っている!?」
「目の前の陥ぼt…」

グボッ

「まだ言うかーーー!!!」

ぐおおぉぉぉ…お前、顔面にグーはないだろグーは!!

「…えーっと、まだ続くのかい?」

何時の間にか紅茶を飲んでいたMrダンディことタカミチさんは暖かい笑い声を向けながら話しかける

「…ちっ、用事は何だ?タカミチ?」

『…ちっ』て何?『…ちっ』て?

「なに、昨日の事で話があってね」
「フン、なるほどな…茶々丸に映像を撮らせているから後で見ておけ」
「わかった、茶々丸君後で学園長の所に送信しておいてくれないか?」
「了解しました、高畑先生」

昨日…?しかも俺に伏せている?
まさか『さくら通り』で戦った事じゃないだろうな?

「宜しく頼むよ…ところで君は誰なんだい?僕はエヴァと茶々丸君の担任の高畑.T.タカミチ…高畑って呼んでくれ」

お?俺の話?…少し目付き厳しいけど

「コイツか?私の下b「此花始、21歳、現在絶賛就活中です」…ちっ」
「…で此花君はどうしてここに居るんだい?」
「昨日就活で麻帆良に来たんですが…
 乗って来たバイクの調子が悪くなって、更に道に迷ってた所を茶々丸さんに助けてもらっていた所です」
「オイ、私の事は?」
「俺の頬っぺたで遊んでたな」
「…もういい」
「…とまぁ、そんな感じです」
「そうか、大変だね。何か希望している職種はあるのかい?」
「飲食店関係ですね、実家が洋食屋なんでその修行も兼ねての就活なんですよ、高畑さん」

一応納得がいったのかな?
口を手で押さえながら「とりあえずは…」なんて呟いてるから

「なるほどね、話は分かったよ此花君
 …でも立場上あまり感心はしないな、中学生の女の子2人しか居ない家に一晩とは言え泊まったんだからね」
「…はい?中学生?」

そこで俺はエヴァと茶々丸の2人の方を見た
茶々丸は…まぁロボットだけど体格としては分からんでも無い、けれどもエヴァは…

「何を考えている…始?」

見た目中学生に見えないって考えてたよ

「マジで中学生なんですか?」
「まぁ…ね、あまり変に考えちゃいけないよ…」

タカミチさんの顔に汗がタラーって一滴流れたよ…後ろのエヴァに絶対睨まれてるな、コレ

「まぁ…とにかく、昼には街に出てホテルを探そうかと思ってますからその辺は心配なく…ハハ」

何だか知らんがタカミチさんがカタカタ震えてきてる、早くこの話題を終らせた方が良さそうだ

「うん…了解したけれどもくれぐれも頼むよ」

何か見ててイッパイイッパイだよこの人、もう解放してあげたい気持ちで一杯だよ…

「じゃ…じゃあ僕はこれで…茶々丸君、映像の方は頼んだよ」
「はい、分かりました」

おぉ、早足で帰ったよタカミチさん
よっぽど凄んでいたのが堪えたんだな………とりあえず合掌しておこうか

ナームー
(−人−)





あとがき

盆休み明けで仕事がダルいなー…と切実に思っているS’です
今回の最後の方に顔文字をちょいと入れてみました、軽く挑戦入ってます

〈続く〉

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