それは、ある一人の少年の物語――


 管理局のとあるエース達が、新部署を立ち上げる前の時間軸から始まる物語――


 ある理由から、ナカジマ家で世話になることになった少年。
 現実問題、世話をされるではなく世話をする(食事や子守的な意味で)だったのだが、多少人とズレていても性根が優しく、そして何より頼まれると断れない性格だった少年は妹的な二人の少女の面倒を見つつ、(元から高かった)主夫としての腕を磨いていく。
 だが、そんな少年も数年のときを経て、時空管理局の局員になるべくナカジマ家を後にする。
 泣いて止めるナカジマ家の少女達に後ろ髪を引かれながらも、ある目的を叶えるために少年は振り向かず、前へ歩き出した――


 その後の彼の人生に何があったのか、それはわからない。なんにせよ、少年がナカジマ家を出て訓練学校を卒業し、晴れて局員になってからさらに数年後。


 時はついに動き出す――


 新たに設立された時空管理局・古代遺物管理部 機動六課――人呼んで機動六課。そこに一人の少女が希望を胸に入隊した。
 少女の名はスバル・ナカジマ。先に出た少年が世話になっていた家の次女的存在である。
 そんな彼女と再会するは、幼き頃の優しかった面影を欠片程しか残していない青年だった。
 嘘だと叫びたくなる程、性格が捻くれているっぽい青年に落ち込む少女を余所に、彼は

「魔導師……いや、平穏と幸せを求める人間がすべきこと。それは敵を見たら一に突撃、二に粉砕、三・四が無くて、五に大喝采!」

 と主張する。
 いつか自分は、努力を重ねて手に入れた力を使って不幸体質を、いやさ不幸を運んでくる存在の全てを破壊し尽して、平穏無事な幸せを掴み取ってみせる。
 そう豪語する青年の手には、必要なものと主張した突撃・粉砕・大喝采を象徴する様なメイス型のデバイスが。
 内心、それを見た者全員がツッコミを入れる。きっと武器を振り回すついでに、近づいて来る幸運も一緒に粉砕していると――


 エース揃いの機動六課に配属されるという、不幸と苦労と(立てるかどうかわからないフラグによる)理不尽な暴力に晒される予感しかしない日々との戦いが今始まる。

「お前らのせいで休日返上だ、コラァ! 気が済むまで俺のターン!!」
「もうダメ! 敵はスクラップだよ!? ああ、証拠品がぁぁぁぁっ〜!?」
「HA・NA・SE!」

 魔法少女リリカルなのはStrikerS(偽)〜足掻いても流される者〜


 始まり……始められません――――








 でもプロローグだけ書いた!

「足掻いても流される者〜プロローグ〜」


 その知らせは、あまりと言えばあまりに唐突だった。

 父が殉職した――

 家に来た管理局――正式名称・時空管理局から来た女性局員にそう告げられて、十歳になるかならないかの少年、ナガレ・フカガワ(深川 流)は悲しみに顔を歪める局員の前で暫し呆然とした後、現実に帰還してこう言った。

「あれです、辛いことや悲しいことは飲んで忘れるに限ります。今日は飲みましょう、アルハザードまでトリップできる位に!」
「え、は? ちょっ――」

 半ば強引に女性局員を応接間に招き入れ、手際良く酒盛りの準備を終えた少年が音頭を取る。

「死んだ父の冥福を祈って乾杯ー――――プハァ……」

 何ら躊躇することなくグラスに注いだ日本酒を一息に煽った少年へ、所在なさげに酒を注がれたグラスを持ち、顔を引き攣らせた局員が問う。

「……君、お酒を飲んでいい歳じゃないでしょ?」

 いくら仕事の就労年齢が低いミッドチルダとはいえ、飲酒喫煙が許されるには少年はまだまだ幼い。
 法を守るべき時空管理局の職員としての顔でたしなめた女性に、少年は空になった自分のグラスに手酌で酒を注ぎながら答えた。

「半ばヤケクソというのもありますけど……父に教えられたんです。酒は美味いと感じた時が飲酒適齢期だと」
「どういう教育してたの、彼……」
「たぶん、出るトコ出たら親権剥奪されるんじゃないですか? 食事の時とか、水の代わりに普通に酒が出てきましたし。解毒の魔法の訓練だって」

 大きく分類すれば、酒も立派な毒ですしね。さも当然のように語る少年に、頭痛でもするのかこめかみに手をやって俯いた女性局員――クイント・ナカジマは呻くように呟いた。

 駄目だこの子、早く更生しないと――

 地球からミッドチルダに移ってきたせいで、頼れる親類縁者や親しい知人もいないと聞いている。放っておけば、この子は最年少のアルコール中毒者としてギネスに載ることができるに違いない。
 水でも飲むように、グラスになみなみと注いだ日本酒を喉に流し込んでいるナガレ少年にジト目を向けて、クイントはそう思った。





 既に母を亡くしており、今回の件で幼くして一人暮らしを余儀なくされることになったナガレ少年が、クイントの……ナカジマ家の世話になり始めたのは、それからすぐのことであった――――







 オマケ?

「飲まないんですか、クイントさん?」
「あのねぇ……いや、まあ今日くらいはいっか。大目に見ましょう、内容が内容だし――――んんっ、このお酒美味しい!?」
「生前、父が地球まで行って購入してきたレア物の日本酒らしいです。なんか、一本十数万したとか」
「じゅっ!?」
「同じような酒を数十本買い込んだせいで、その月は生活費が赤通り越して真紅でした……」
「あのバカ、子供いるのに何やってんのよ……」
「いや、父に隠れて秘蔵のお酒をネットオークションで流して生活費は確保していましたから。それに、父が酒で生活費を圧迫するのは毎月のことです」
「苦労してたのね……」
「酒を買い過ぎるなって言っても、聞く耳もちゃしません。ハハ、アハハハハハッ、墓に秘蔵の酒全部ぶっ掛けてやる。悔しいだろ、アハハハハハハハ!」
「あ、ちゃんと酔ってたんだ。君、顔色変わらないからわかんなかった」

 終わっとけ。




後書き?) ネギま!の方で考えている新しいオリキャラ物の話とこっち、どっちを書くかで考えた結果、ネギま!の方は『〜使い魔?』終わるまで書くのは自粛するがよかろうで、こちらを選びました。
 まあ、書くか書かないかは微妙ですし、ストライカーズの話も所々忘れているので、書くにしても調べなおしが必要ですが(とらハ2・3なら今でも覚えていますが!)。今回はストレス発散ということで、生暖かい目で許してください。
 反応次第で書きたいかなぁ、とは思っています。ただメインは『〜使い魔?』なので、こっちは牛歩が如き更新になると思われますが。内容も予告編と少し変わると思われます。
 ではではー


 ……それとも、バカ息子のジローをクロスさせた方が受けがいいのだろうか? やったことあるゲームだと、サモンナイトとか東方とか。クロスで人気の作品だしなぁ。

〈一応、続かない?〉

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