『魔法都市麻帆良』
The 7th Story/街並み、そして出会い
あの後ノインが運んできた何かをアルベルトが仕掛け
それを見て呆れつつも竜帝の事を聞いてくるエヴァンジェリンを軽くあしらいながら
市街の店で生活に必要な物を買うついでに街を見て回るアルベルト達
そして、アルベルトとノインは結構な量の買い物袋を手分けして持っている
アルベルトは西洋風の整った街並みを感心しながら眺め
ノインは自分と同じくかなりの量の買い物袋を持っている茶々丸と会話をしている
「―――ではノインさんは1世紀以上前に作られた自動人形なのですね」
「はい、――申し訳ありませんが詳しい年齢はお話できません
ですが定期フォーマットを行っているので実質0歳だと断定できます」
「そうなのですか、……私もハカセに定期フォーマットを要求してみるべきでしょうか?」
そう言いながら首を傾げる茶々丸
ノインはそれを見て少し思案すると
「茶々丸様次第だと判断します」
「そうですか?」
「はい、―――と言うかその視線は何ですかアルベルト様、
言いたいことがあるのならハッキリと仰ってくださいと前々から申し上げているのですが」
そう言いながら自分の横を歩くアルベルトを見るノイン
アルベルトはノインに半目を向けつつ溜息をつくと
「―――……はぁ……、…………それはまあいい、それより絡繰」
「?」
「竜帝の掌の上で寝こけてる貴様の主人をどうにかしろ、このままだと処々のゲージが限界突破して投げ捨てたくなるのだが」
アルベルトがそう言いながら視線を向けた先では
彼の右腕にあたる大型義腕の掌の上で気持ちよさそうな寝息を立てて眠る金髪の少女の姿がある
アルベルトはその様子を見つつ凄まじく嫌そうな溜息をつくと
「―――全く、こいつはよくこんな金属の塊の上で眠れるな……」
「竜帝から発される魔力の波動が落ち着くと先ほど申されていましたが」
同じようにエヴァンジェリンを見つつノインが放った言葉にアルベルトは頷くと
「ああ、それは俺も聞いている
――だがな、いくらこいつが軽いとは言え……、周囲の目を気にしろと言ってやりたいのだがどうだろうか」
「おそらく聞き入れられないと判断しますがどうでしょうか」
「だろうな、―――どうするか」
ハリセンで引っ叩こうにも左手は塞がっており、右手である竜帝はエヴァンジェリンが塞いでいる
更にノインと茶々丸も両手が塞がっている状態である
ただでさえ身長の2/3近い大きさを持つ巨大義腕を付け、その上に人が乗って眠っている
周囲の視線がアルベルトに向けられるのもまあ当然だろう
「むぅ……」
「アルベルトさん、もうすぐ校舎につきますのでそこまでお願いします」
「――仕方ない、了解した」
アルベルトは仕方なさそうに溜息をつくとそのまま歩き
後ろの2人もそれに従う
約10分後、麻帆良学園女子中等部校舎前
3人が校舎前に戻ると
校舎前にある洋風の広場にタカミチが立っているのが見える
タカミチはアルベルト達に気付くと、片手を上げながら歩いてくる
「やあ、どうだいこの街は?」
その言葉にアルベルトは軽く頷くと
「ああ、中々悪くない、街並みも綺麗に整備されているし、何より活気がある
暮らしていく分に苦労はなさそうだ」
「それは良かった
あ、これが君達の住む場所が書いてあるんだけど……」
そう言いつつ懐から一通の書類を取り出すタカミチだが
その視線が未だに眠っているエヴァンジェリンへと注がれる
しばらくしてからタカミチは首を傾げ
「……どうしたんだい?」
「竜帝の出す魔力の残滓が落ち着くそうでな、さっきから目覚めんのだ」
くたびれたような声音で放たれた
「へぇ…………この感じは……風かな?
いくつか別の力も感じるけど……、どうだい?」
「不正解では無い、とだけ言っておこうか
それより一旦コイツを預かってくれ、荷物を置くのに邪魔だからな」
「ああ、わかったよ」
アルベルトはタカミチがエヴァンジェリンを抱くのを確認し
左手に持った荷物を降ろすと、タカミチから受け取った書類を開く
「――……何々……?
『麻帆良学園女子中等部2−A副担任アルベルト・シュバイツァーを女子寮警備員に任命す
尚、住居は女子寮管理人住居を使用すること BY 近衛近右衛門』…………何だと?」
「…………」
「―――?」
「へ…………?」
「………zzz………」
あまりと言えばあまりの内容に固まる一同
3分ほどしてアルベルトが再起動し、爽やかな笑顔をタカミチに向けると
「――――さて、タカミチ教諭、こんなふざけた場所を紹介する爺に対する罰だが……
・1、天誅を下す
・2、極刑に処す
・3、緑獅子・改で強襲
――どれが良いと思う?」
「……何で最後だけ具体的なんだい?
しかも全部最終的には殺すって事にならないかな?」
漫画汗をたらすタカミチ、対するアルベルトは表情を真顔に変えて肩を竦め
「気にするな、禿げるぞ
――で、どれが良いと思う?俺的には一括選択推奨なのだが」
「後半無視して言うとやめたほうが良いよ?
学園長に『これを断ったら即時クビじゃと伝えとくれ』って言われたし」
その言葉を聞くと、アルベルトは頭痛を起こしたように頭に手を当て
「…………あの爺め……………………―――いつか抹殺してくれる…………」
「無視して言わせて貰うけどどうするんだい?」
「―――仕方ない、受けるとしよう
と、言うよりは受けるしかあるまい?」
「はは、まあね」
やれやれと言いながら肩をすくめるアルベルトにタカミチも笑いながら同意する
「―――そう言えば、その女子寮の場所は何処にあるんだ?
荷物を運ばねばいかんからな」
「僕が案内するよ」
「よろしいのですか?高畑様」
「そう言う命令を受けているのさ、じゃ、行こうか――――と言いたいところだけど」
そこでタカミチはエヴァンジェリン(未だ睡眠中)に目をむけ
数瞬考えた後
「――とりあえず、エヴァを起こしてくれるかい?」
「ああ、了解した、――ノイン」
「はい」
ノインが右手で持っていた荷物を空いた竜帝で受け取り
そしてノインが取り出したハリセンを左手で受け取ると
「―――起きろエヴァンジェリン」
言葉と共にエヴァンジェリン目掛けて振り下ろすが―――
「―――む?」
ハリセンはエヴァンジェリンが無意識に張った魔法障壁に阻まれる
いくら封印状態で障壁の強度も高く無いとは言え、そんなもので破れるほど弱い障壁では無いだろう
「あ、そう言えばそうだったな」
「ふむ」
タカミチが呟くのを無視してハリセンをノインに渡し
「―――竜帝」
竜帝に声を掛け、光帝神器の音楽を流れだすとタカミチから数歩離れる
そして竜帝の爪をエヴァンジェリンに向け
―――アルベルト・射撃/光帝技能・発動・光帝射撃・成功!
竜帝の爪から放たれたビー球状の光がエヴァンジェリンの障壁を撃ち抜き
それにより多少減衰しつつもかなりの速度でエヴァンジェリンの額に激突する
「あばぁっはぁ!!?」
光が弾けると同時にガラスが割れるような音が響き
それと同時にかなり愉快な叫び声を上げたエヴァンジェリンが額の辺りを押さえながら飛び起きる
額を抑えつつも瞬時に自分に一撃入れたのがアルベルトだと気付いたらしく
タカミチが彼女を降ろす前に自分から飛び降り、かなりの素早さで掴みかかってくる
「―――何をする貴様ぁーー!」
「貴様がいつまでも寝こけているから起こしてやっただけだ」
「起こし方があるだろうが馬鹿者!」
そう言いながら真顔で頷くアルベルト
対するエヴァンジェリンはアルベルトの胸倉へ掴み掛かろうとするが竜帝で押し留められ
そのまましばらくもがいた後に茶々丸のほうへ首を向けて叫ぶ
「だぁぁぁぁっ!―――茶々丸!お前も何で止めなかった!」
「両手が塞がっておりますし……、危険も無いと判断しましたので」
「―――…………茶々丸ぅーー!!」
エヴァンジェリンは茶々丸に飛び掛り
彼女の後頭部にゼンマイのような物を装着
それを高速で巻き始める
「ああああああマスター、そんなに早く巻かれては……」
「黙れこのボケロボーー!!」
ブルブル震えながらも両手で抱えた荷物を落とさないのは流石と行った所か
そんな事を考えながらノインと一緒に荷物を抱え直していると
唐突にエヴァンジェリンがこちらへ振り向き
「貴様らも何してるかぁーー!!!」
「荷物を抱え直してるのだが?」
「それ以外に見えるのでしょうか?」
「やかましぃーーーー!!」
微妙に涙目のまま怒鳴るエヴァンジェリン
自分の従者に放置された事が結構なショックだったようだ
しかしアルベルトは無視してタカミチの方を向き
「―――さて、そろそろ行くか
タカミチ教諭、案内してくれ」
「ああ、わかったよ」
「おい!こっちを向け貴様ら!!」
アルベルトはエヴァンジェリンの叫びを無視して茶々丸に荷物を持った竜帝を軽く上げると
「またな絡繰、超と葉加瀬に会ったらよろしく言っておいてくれ」
「わかりました、それではまた明日お会いしましょう」
「無視するなぁーー!!」
結局エヴァンジェリンは無視し通され
一礼する茶々丸に挨拶し、アルベルトとノインとタカミチの3人は歩き去る
約30分後
「―――さて、そろそろ見えてくるかな」
タカミチが指差した先には、かなりの大きさの建物が3つほど並んでいる
エヴァンジェリン、茶々丸と分かれた後、3人は電車に乗り
麻帆良学園前駅(仮)から5〜6駅ほど離れた駅で降り
そこから10分ほど歩いた所にその女子寮はあった
「……タカミチ教諭」
「何だい?――ああ、それと僕の事は呼び捨てでいいよ?」
「そうか?では俺も呼び捨てで良いぞタカミチ
―――っと、そうでは無い、……この学園にはどれだけ金があるんだ?
道中歩きながら見たが幾ら何でも贅沢すぎだろう」
周囲を見渡しつつげんなりとした声を出すアルベルト
タカミチはその様子を見て陽気に笑うと
「ははは、それは気にしないほうがいいと思うよアルベルト?」
「そうか?」
「そうさ」
「―――それよりいい加減私とアルベルト様の住む場所がどこか教えて欲しいのですが」
「あ、ごめんごめん、こっちだよ」
ノインの言に今やるべき事を思い出したのか
頭を掻きつつ歩き出すタカミチとそれに習うアルベルトとノイン
やがて3人の目の前にちょっとした一軒家が現れる
大きさはエヴァンジェリンの家とほぼ同等か少々大きいぐらいだろう
和風造りの中々趣味の良い家である
アルベルトはしばらくその家を眺めた後タカミチのほうへ首を向けると
「―――いいのか?」
「――と、言うよりここしか空いてないんだよね、他の先生方は大抵自宅通勤だし
あ、生活用品とかは最低限置いてあるからね
それでこれがこの家の鍵だよ、予備も一緒に渡して置くから無くさないように頼むよ」
「ああ、了解した」
アルベルトはタカミチが差し出した鍵を受け取ると
2つある内の片方をノインに渡し
「――無くすなよノイン?」
「鏡を見てそこに映った人物に言えと進言いたします」
む、と言葉に詰まったアルベルトを見ながらタカミチは楽しそうに笑い
「―――うん、じゃあ僕は行くよ
また明日学校でね」
「ああ」
「お休みなさいませ高畑様」
タカミチは2人の返答に頷くと
手を振りながら元来た道を引き返していく
「………………」
「………………」
2人はタカミチを見送ると
どちらとも無しに家へ入っていく
そして夜は更け…………
翌朝
何故か妙に中身が豊富な冷蔵庫に2人揃って首をかしげ
更にアルベルトの体格にぴったり合ったスーツが並んだタンスに不思議がりつつもそれに着替え
2人は駅へ向かう
途中、電車内
「―――ノイン」
「何でしょうかアルベルト様?」
「向こうに着いたら“力試し”対策としてお前のアレを緑獅子・改から持って来い」
2人並んで椅子に腰掛ける2人
ふとアルベルトが言った言葉を聞いてノインは首を傾げると
「―――……よろしいのですか?」
「ああ、緑獅子・改を使う機会は当分無いだろう
俺は重騎師で無く全方位義体師として立ち回るつもりだ
お前もお前の責務を果たす為だけの装備は整えておけ」
「承知いたしました」
約20分後、学園長室
そこには部屋の主である近右衛門と眼鏡をかけた女性がアルベルトを待っていたが
アルベルトが持っている黒いケースに目をやりつつ、ノインが居ないことをいぶかしんだ近右衛門が問う
「さて、おはようと言いたい所じゃが……ノイン君はどこかの?」
「ああ、緑獅子・改の中に忘れていた物を取りに行かせている、すぐに来るだろう」
そうかの?と、問うてくる近右衛門に対し頷く事で肯定する
近右衛門も頷くと、机の横に立つ眼鏡の女性に視線を向け
「アルベルト君、こっちは指導教員の源しずな君じゃ、わからんことが有ったら彼女に聞いとくれ」
「よろしくお願いしますね」
「こちらこそよろしくお願いする」
温和な笑顔を浮かべて頭を下げるしずなに合わせるようにアルベルトも頭を下げる
「―――と、そう言えば、学園長、俺が補佐する教師と言うのは何処に居る?」
目の前の女性に自分の補佐が必要とは思えない
ならば別に居るのだろう
アルベルトはそう判断して近右衛門に問う
「ああ、彼ならすぐに来るぞい」
「そうか(―――さて、どんな人物なのだろうな?)」
アルベルトなりに自分が補佐する人物の事を考えていると
学園長室の大きい扉が遠慮がちにノックされる
「おお、来たようじゃの、入っとくれ」
「――はい!失礼します!」
聞こえてくるのは少々高めの声
来るのが成人男性だと思っていたアルベルトは首を捻る
「(“彼”…………と言っていた筈だが……女性なのか……?)」
そんなアルベルトの心境を知る筈も無く、ゆっくりと扉が開かれ
入ってきたのは……
「(―――……子供?)」
そう、部屋に入ってきたのは10歳前後と思われる眼鏡を掛けた子供
スーツをしっかりと着込み、眺めの赤髪を後ろで纏めている
更に所々に包帯の様な布を巻いた長い杖を持っている
「(子供…………、だな……?なんで子供が?む……、…………まさか……)
―――学園長、一応聞くが、この子が?」
「そうじゃ、君が補佐することになる 『ネギ・スプリングフィールド』先生じゃ
ネギ君、こっちはアルベルト・シュバイツァー先生、今日から君のクラスの副担任をする事になったぞい」
近右衛門の言葉にネギと呼ばれた少年は一瞬驚いたような表情を見せるが
すぐにそれを嬉しそうな表情へと変えてアルベルトの前に立ち、頭を下げると
「―――あ、そうなんですか?よろしくお願いします!」
「ああ(しかしこの爺……労働基準法と言う物を知っているのか?)」
ネギと握手しながら近右衛門を軽く睨んでみるが
近右衛門はフォフォフォと笑うのみである、アルベルトはそれを見て内心で溜息をつくと
「(言うだけ無駄か、まあ仕方あるまい)
アルベルト・シュバイツァーだ、いつまでになるかはわからんが君の補佐を頼まれた
まあよろしく頼む」
「はい!」
元気に一礼しつつも、ネギの視線は先ほどから竜帝に注がれている
アルベルトは苦笑を浮かべ
「ああ、これの事か?俺は昔の事故で右腕を失ってな、当時の技術で作れるのがこの大きさしかなかった訳だ
まあ、これでも普通に暮らしていく分に問題はないし別の小さい義腕も有るが今日はこれしか使えんのだ
あまり気にしないでいてくれると助かる」
「あ、―――はい」
後ろで近右衛門が『そうなのかの?』と言いたげな視線をぶつけてくるが
『そう言うことにしておけ』と声を出さずに口の動きのみで伝える
近右衛門は頷くと、傍らに立つしずなを退出させ
ネギに対して口を開く
「彼は魔法使いではないが魔法の事は知っとるでの
何か困った事が有ったら聞くと良いぞい」
「あ、そうなんですか?―――わかりました!」
元気に頷くネギを見て近右衛門は頷くと
「うむうむ、―――さて、そろそろ時間じゃの
話しは終わりじゃ、教室へ向かってくれるかの」
「はい!」
「了解した」
2人が近右衛門に頭を下げてから学園長室を出ると……
「終わられたようですねアルベルト様
―――その方が?」
ドアから少々離れた壁際に2m近い長さの銀のケースを下げたノインが立っている
アルベルトが頷くのを確認するとケースを手に取り、アルベルトの後ろへ控える
「ええっと……貴方は……」
「アルベルト様の侍女、ベルマルク・ノインツェーンと申します」
「あ、はい、ネギ・スプリングフィールドです」
一礼するノインに釣られる様にネギも一礼する
その様子を後ろから見ていたアルベルトは軽く苦笑すると
「ノインも俺と一緒に君の補佐をする事となっている
何か有ったら遠慮なく頼ると良い」
「あ―――はい!」
元気に頷き、案内するように先行するネギ
2人はお互いの顔を見合い、軽く頷き合うと
2人並んでネギに付いて行く
麻帆良学園女子中等部2−A教室前
ネギを含む3人が教室の窓から中を覗くと
中では30人前後の女子がなにやら話したり、ゲームに興じたり、なにやら良く分からない行動を取っていたりと
中々にやかましい(何故か超ともう1人が教室内で肉マンを売っている)
「―――ふむ……」
中々に混沌とした光景に首を捻るアルベルトにノインが半目を向けると
「アルベルト様、節度を持った行動をよろしくお願いいたします」
「わかっている、―――と言うか俺の信用度はそんなに低いのか貴様の中では」
「ご想像にお任せいたします」
「あ、あのー……、そろそろ入りませんか……?」
相変わらず無表情のノインと
彼女の言葉に呆れ混じりの声で対応するアルベルトにネギがおずおずと聞く
「―――ああ、それもそうだな、先に入るぞ?」
「あ、はい…………ってちょっと待ってください!多分罠がー!」
ネギの静止も聞かず、アルベルトがさっさとドアを開けて入ろうとした瞬間
ドアの上部に挟んであった黒板消しがアルベルト目掛けて落ちて来るが……
「む、――甘い」
アルベルトが瞬間的に身を引いたので黒板消しは床に落ちて煙を撒き散らす
それを拾い、歩き出したアルベルトは途中にあったロープを無造作に踏み切り
3本ほど飛んできた玩具の矢を竜帝の肩部で受け止め、最後に落ちてきた金ダライを竜帝で掴み取ろうと伸ばすが
「―――む?」
「「「「「!!?」」」」」
勢い余ったのか鋼の爪が金ダライを握り潰し
哀れにも金ダライは単なる金属の塊と化す
「――ふむ」
あまりの事に停止する生徒たちを無視して教卓に辿り着くと
拾った黒板消しに受け止めた矢と金ダライだったものを教卓の上に置き
「「「「…………」」」」
まだ停止している一同(すでに出会った4人除く)を軽く見渡し、アルベルトは悠然と言い放つ
「アルベルト・シュバイツァーと言う、今日からこのクラスの副担任を務める事となった
うむ、中々小洒落た歓迎だな、―――しかし俺に対しては通用せんぞ?
仕掛けた奴はもっと精進しておく事だな」
肩部に大きく「竜」と書かれた緑色の巨大義腕の肩をやれやれと言いつつすくめると
アルベルトは一瞬だけ笑みを浮べ、そう言い放った
青年と自動人形は帰る場所を得た
これから彼らが補佐する事となる少年
そして彼らと関わっていく事になる少女達
異世界の学園都市での物語
これからもお楽しみあれ
7th Story後書き
はい、「魔法都市麻帆良」7th更新です
アルベルトやノインが所持しているケースの中身は次回判明します
冒頭でアルベルトが何を仕掛けたのかも次回のお楽しみということで
これからも「魔法都市麻帆良」を「本編」「IF」共々よろしくお願いします
それでは