『魔法都市麻帆良』
Prologue



我が祖国に吹く疾風の下で
魔弾の射手は追い風を受け
悲愴の元で皇帝は葬送曲を謳い
月夜の下で救世者は運命をとらえ
ただ独りの英雄が新世界より前に進む


黒き森の暗き闇
深淵にて生まれ
深淵より転輪す
疾風を巻きて竜と語り
風を読みては涙を流し
手には力を抱いて逡巡


隻腕の者は救世者を抱き 月下に二人は大地に戻る
今宵にて竜は集いて踊り 全ては全ての帰途につく


風が吹き 夜に吹き 竜が起き 人は動き 竜が鳴く
北の方から風が生まれ 北の方から道が生まれ
騎師は騎師として下り 竜は竜として空駆ける
全ては北の星に至る道 壁を越えられない物語


懐かしい人の至る道を 寄り添いて歩く
手は届き声は届くとも 月はそれを見ず
集う者達の宴は始まり 二人は壁を挟み
同じ詞で同じ道


宴は始まり村は踊る 竜は吠え騎師は集う
花嫁は無冠にて泣き 詞は噤みて彼は来ず
かくして彼女は独り この地にて泣き眠る


追い立て待つがいい 新しきを欲すならば
迷いのことごとくはその先に果てがある

輪を結ぶか断つのか 新しきを望むならば
迷いのことごとくを打ち捨てて振り返れ

疾風は共に彼も共に 新しきを求められよ
迷いのことごとくは壁を穿つためにある


誰もが そのままで―――
ずっとずっと そのままで いられるために




これは1人の青年と1人の人形
そして1つの機械が訪れた異界の話

それは偶然の産物なのか
それとも必然によるものなのか
それはまだわからない
魔法が在る世界にある1つの学園都市
そこに辿り着いた騎師が己に従う人形と共に作り出す物語

とくとお楽しみあれ




Prologue後書き

プロローグなので短いですが次からは大分長くなると思います
これ以降の話には改定を加える予定です

それでは、これからもよろしくお願いします

〈続く〉

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