―――2003年3月14日 午後12:10 麻帆良学園女子中等部 学園長室

「そうか、なかなか上手くやっとるのかネギ君と此花先生は」
「はい、学園長先生。生徒とも打ち解けて授業内容もがんばっていますし、脱線しがちなあの子達を此花先生がきちんと止めています
 この分なら指導教員の私としても、一応合格点を出してもいいと思っていますが……」
「フォフォ、そうかそうか。では4月からネギ君は正式な教員として採用できるかのう」

ワシは今しずな先生からネギ先生と此花先生の教員としての適正の報告を受けておる
思っていたよりも良かった様子でワシは内心ほっとしておる、何しろ父親がアレじゃったからなあ……
しかし此花先生は惜しいのう、あのクラスと止められるのはそうそうおらんと言うのに……

「ご苦労じゃったしずな君―――おや?何処じゃ?」
「上ですわ学園長」

おぉ、いかんいかん…ワシとした事がしずな先生を労おうと握手をする為に歩み寄ったのじゃが
いささか寄り過ぎてしずな先生とぶつかってしまったようじゃのう。うむ、なかなか良いやわr……



……

………

「―――ただし、もう一つ…」
「は?」
「ネギ君には『課題』をクリアしてもらおうかの才能ある『立派な魔法使い(マギステル・マギ)』の候補生として」

このままでも問題無く教員としてやっていけると思っておるが、ネギ先生にはこの『課題』をクリアしてもらおうかの
これから期末のテストもあるし、あのクラスにとっても良い『課題』となるじゃろう
……別にこれは先程突然意識を失って、気が付いた時に閃いた事でも何でも無いのじゃから変な考えを持たん事じゃ!
おお、そうじゃそうじゃ。此花先生にも一つ出しておこうかの、日頃色々とされておる事じゃし
そう思い立ったワシはすぐさま墨と筆を持ち、サラサラと2通の手紙を書いてしずな先生に渡して貰う様にお願いした





―――2003年3月14日 午後12:40 麻帆良学園女子中等部 廊下

「―――でねでね、その時美砂ったらねー」
「そうなんですか?」
「うんうん、円の方もー」
「アハハ」

只今、職員室から2−A教室に向かって俺、ネギ、明石さんと椎名さんの4人で話しながら歩いている
しかし椎名さんの話って結構暴露話が多いな……女の子の話ってこんな物なのかな?

「―――何か他のクラスの皆さんピリピリしてますね」
「あ―――そだね、そろそろ中等部の期末テストが近いからね」
「来週の月曜からだよネギ君」
「へー期末テストですかあ、大変だあ……って2−A(うち)もそうなのではっ!?のんびりしてていいんですか!?」

おいおいおい、良い訳ねえだろ……まあ昔の俺みたく最初から諦めてるって事なら別だけどさ
何とか毎回赤点だけは何とか回避してたけど、流石にコレは見習わせる訳にはいかないよなあ……

「あはは、うちの学校エスカレーター式だからあんまり関係ないんだ」
「特に2−Aはずーっと学年最下位だけど大丈夫大丈夫」
「いやいやいや、最下位独走って大丈夫な訳ないから」

お気楽なのも限度があると思うんだ、俺

「いや……確かそーゆー時に効く魔法があったような……でも副作用でパーに……」

コイツはコイツで何やら物騒な事ブツブツ言ってるし……ってか副作用でパーにってダメじゃん

ペシッ

「あいたっ」

俺はそんな物騒な事をブツブツ言っているネギを止めるために後頭部にデコピンを一発入れた
後ろから源先生が俺とネギを呼びながら近づいて来ているし

「は、ハジメ!?」
「物騒な事言ってんじゃない……ってか源先生が呼んでるぞ」

そう言うとネギは頭をさすりながら源先生に近づいた

「あの…学園長先生がこれをあなたにって……」
「え…何ですか深刻な顔をして?……え!?僕への最終課題!?」

最終課題?……なんだか分からんけどジジイのヤツ絶対遊ぶ気満々だろ

「…中に何て書いてあるんだ?ネギ先生?」

何かテンパってるネギをこっちに戻す為に、中を見るように急かしてみた

「え…えと……」

ネギが封筒を空けると中には三つ折りにしていた紙が一枚入っており、その紙には

『ねぎ君へ
   次の期末試験で、2−Aが最下位脱出できたら正式な先生にしてあげる
                        麻帆良学園学園長 近衛近右衛門』

…と書いてあった

「………」
「………」
「シバム○ティックバランス!?」

ネギと源先生が沈黙する中、俺だけが中身を見た瞬間思わず叫んでしまった……ってか「○バムラティックバランス」って何よ?

「な…なーんだ簡単そうじゃないですか―――びっくりした―――」
「そ…そう?」
「え〜!?なになに!?ど〜したのネギ君―――!?」

先に教室に向かっていた椎名さんと明石さんが今の騒ぎを聞きつけ戻ってきた

「あ―――!ネギ君本当の先生になるんだ!?」
「へ〜なになに…?」
「あっ見ちゃダメですよう」

椎名さんと明石さんに詰め寄られ嫌そうにしながらもニヤニヤしているネギを見ている俺と源先生はというと……

「コレ……あんなお気楽に構えてて大丈夫なんですか?」
「私の口からはとても………そうだわ、此花先生にも預かって来たんです」

と話題逸らしのネタにされた俺への課題が書かれた書類が入ってると思われる封書を受け取り、中身を確認した

『此花 始殿
   急に里芋の煮っ転がしが食べたくなったので作ってきてくれんかの
                             フォッフォッフォ
                                   麻帆良学園学園長 近衛近右衛門』

「………」

何考えてやがるあのジジイ!?「里芋の煮っ転がし」だあ!?んなもんフツーに作って食えってんだ!!
ってか「フォッフォッフォ」まで書くんじゃねえよ!確実に遊んでるだろっ!?

「ん?どうしたの此花先生?」

明石さんが軽く抜け殻になっている俺をみて心配してくれたのか声をかけてくれたが

「いや……目の前の状況を受け止めるのに難儀しててな……」

頭を押さえながらこう答えるので俺は精一杯だった……いや、まだやる事があったな

「あれ?此花先生、一緒に教室に行くんじゃないの?」
「ああ、ちょっと忘れ物を取にな……先にHR始めてていいぞ」

そう言って俺はネギ達から離れ、某神拳の伝承者の様に指を鳴らしながら俺は中等部校舎内のある場所に向かった
―――数分後、学園長室から悲鳴の様な声が聞こえたとか聞こえなかったとか



……

………

―――2003年3月14日 午後13:00 麻帆良学園女子中等部 2−A教室前

「……まさか『ムドオン』に耐え切るなんてなぁ」

誰にかけたのか……と言う問いには答える気は無い、恐らくみんな分かってると思うから
で、予想外の寄り道があった為に「先にHRを始めてても良い」と言っておいたんだが

「やっぱりこの5人が一番か――っ!」
「集中的に鍛えるよ――っ」

騒いでますな、やっぱり……ちゃんとHRやれてんのかなぁ?
とりあえずこの騒ぎを収めておかないと新田さんが飛んで来たり、周りのクラスの迷惑になるのは目に見えている
……俺ってこんなんばっかりだよなあ、まあ教科書持って黒板に字書いてたりするよりは似合ってるけどさ

ガララッ

「おーい、うるさいぞー。いい加減静かn「バカレンジャー参上!!」……っ!?」

ガラッ!バァン!!

すいませーん、何でアンタ等5人は教室で脱いでるんですかー?体育なんぞ今日はもう無いから着替えなくて良いのにさぁ
お前等アレか?一種の特殊な趣味をお持ちな方々なのか?

「あ、ハ…ハジメー!」

今閉めたドアから顔面蒼白になりかけているネギが出てきた…が、正直今俺はネギよりもさっきの事しか考えられなかったので

「スマン、ネギ。俺今直ぐにここから離れるわ……いや、離れさせて下さい」

10歳以上も年下の相手に敬語はどうかと思うが、そんな事考えている余裕なんぞ無い
俺はネギの返事を聞かずに踵を返しネギの静止を振り切って2−A教室から離れた……





―――2003年3月14日 午後10:10 麻帆良学園 女子寮管理人室

「それでな刹那、ここにはさっきの例題の式が使えるんだ」
「こ、こうか?」
「そうだ、ここでxとyの式を求めるには…」
「difficultの和訳なぞ「むずい」で十分だろう?」
「ですが「むずい」は正確な回答では無い為、減点か間違いになってしまう恐れがあります」
「チッ面倒だな…」

俺はTVを見ながらまったりした時間を過ごしていた筈なのに………何故か目の前には龍宮、桜咲、エヴァ、茶々丸の4人が居る
ぶっちゃけ俺の部屋の常連連中なんだが、珍しい事にリビングの机を囲んで勉強会なんぞやっている

「先生、ただ見ているだけならお茶を淹れて貰えないだろうか?」
「紅茶にしろ始、それ以外は飲まんぞ」

うるせえよ、お前等2人は水道水で十分だ………じゃなくて

「ってか何でお前等4人ここで勉強会なんぞ開いているんだ?桜咲と龍宮の部屋で十分だろうが」
「自分の部屋だとどうも集中力が出なくてね」
「す…すいません」
「今回の勉強会を始さんの部屋で行うと提案したのはマスターになります」
「茶々丸ぅ!」

俺の部屋の何処が良いってんだ?まったく…

「それに先生の部屋で勉強すれば、夜食も期待出来る」
「…分かった、お前だけめっちゃカロリーの高い物食わせてやる」
「私は餡蜜が食べたいんだが」
「あの……あればで結構なので、お団子を……」
「上等な酒とつまみを持って来い」
「始さんにお任せします」

桜咲、お前もか……ってかエヴァ今お前「紅茶以外飲まない」とか言ってた癖に酒かよ!

「チクショウ!何だこの敗北感は!?」

俺はこれ以上アイツ等(特に龍宮とエヴァ)に文句を言われないようにする為に
何か作ろうと冷蔵庫を開けて食材を確認していると俺の携帯が鳴り始めた

―――デーデーデーデデデーデデデー♪

「ダース○イダーのテーマ……」

因みにこの着信音に設定しているのは朝倉やジジイなどと言った「俺的要注意人物」だったりする

「はい、此花「あーっ繋がったー!良かった――!!」……おおぅ」

うるせえ、耳がキーンとしたじゃないか早乙女め

「あのなあ、もうちょっとボリューム落として喋れっての」
「そんな悠長な事言ってる場合じゃ無いって!図書館島でネギ君達が大変なんだから!」
「ああっ!?どういう事だ!?詳しく……いや、今からそっちに行くから待ってろ!」

俺は早乙女さんにそう告げると、ケータイを切り茶々丸に留守を任せて部屋を飛び出した
桜咲が「侵入者ですか!?」と聞いて来たがエヴァが否定した為そっち関係では無いらしいので少し安心した

「ああもう!何で俺が急ぐ時は近所迷惑考えないといけない時間なんだよ!!」

毎度の事ながら寮の近所で大きな音は立てられない……今俺はダッシュでバイクを押している、かなりダサい見た目のハズだ

「つーか!何でこんな時間に図書館島なんぞに行ってるんだよネギ達はぁ!!」

2つ信号を越えた所で俺はバイクのエンジンをかけて、図書館島に向かって走り出した





まいどS’ですww
「シバ○ラティックバランス」の元ネタが分かっていただける盟友が居ると信じて今回ネタに出しましたww
因みに↑を来い増コード使わずにクリアした方を俺は本気で尊敬します

〈続く〉

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