―――2003年2月24日 午前8:20 麻帆良学園女子中等部 学園長室

「学園長先生!!一体どういう事なんですか!?」
「まあまあアスナちゃんや…」

現在復活(衣類含む)した神楽坂がジジイを問い詰めてる真っ最中にも関わらず
問い詰められているジジイは普段と変わらず「フォフォ」と某宇宙忍者と同じように笑いながら顎鬚を弄っていた
そしてそのまま無かったかのようにスルーして今はネギ君と2、3言葉を交わしている
……今ここでその髭全部引っこ抜いてやろうか?

「なるほど、修行のために日本で学校の先生を……そりゃまた大変な課題をもろうたのー」
「は、はい。よろしくお願いします」

「修行」?「課題」?何の話だ?
俺と神楽坂と近衛さんの3人は何のことか分からないため、頭の上に「?」が浮かんでいる状態になった
オイコラジジイ、ちゃんと説明しろ!

「しかしまずは教育実習とゆーことになるかのう」
「はあ」
「今日から3月までじゃ…」

無視かコラ!?

「ところでネギ君には彼女とかおるのか?どーじゃな?うちの孫娘(このか)なz「ややわじいちゃん」」

ゴスッ

うおっ!俺の横で一緒に「?」が浮かんでいたはずの近衛さんが何時の間にかジジイの隣まで移動して
かなずちであの無駄に後ろに長い頭を一発殴っていた、「ナイスかなずち!」と俺は心の中で惜しみない賞賛を送った

「ちょっと待って下さいってば!!
 だ、大体子供が先生なんておかしいじゃないですか!?しかもうちの担任なんて……」

未だに(普通はそうだが)納得のいって無い神楽坂がジジイに怒鳴りながら詰め寄った……最後の方は本音みたいなのが入ってるけど
因みに寄られたジジイは頭から血をドクドク垂れ流しながら笑い(…グロいな)ネギ君は頬を膨らませながら「む〜」と唸ってた
そしてこのジジイは周りの空気を読まず神楽坂を自然にスルーしてどんどんと話を進めて行った

「ネギ君、この修行は恐らく大変じゃぞ
 ダメだったら故郷に帰らねばならん、二度とチャンスはないがその覚悟はあるのじゃな?」
「は、はい!やります!やらせて下さいっ!」

もはや空気と化した俺、満更でも無さそうな近衛さん、確実に不満たっぷりの神楽坂の前でネギ君はジジイに自分の決意を伝えた
この子大物になるな絶対、ジジイのような大物にはなって欲しくないが……
その言葉とネギ君を見てジジイは満足し頷いた

「…うむわかった!では今日から早速やって貰おうかの。指導教員のしずな先生と副担任の先生を紹介しよう―――しずな君」
「はい」

返事と共に源しずな先生が「一人」で入って来た、アレ?副担の先生って誰だ?居ないぞ?

「此花先生何しとる?早ようこっちに来んか?ネギ君に紹介できんじゃろう」

は?………紹介?………ネギ君に?

「今朝話があると連絡しておいたじゃろう?内容は此花先生にネギ先生のサポート―――2−Aの副担任になって貰うことじゃよ」
「……マジでか?」
「マジじゃ」

ハハハ……駄目だこのジジイ……もうこの世に存在しちゃいけねえだろ?俺が副担任?これ以上仕事増やすんじゃねえ!!
焼きブタにしてやろうか?それとも冷凍マグロ?趣向を変えて電気ウナギ?単純にのしイカか?
などどジジイをどう料理するか考えているとネギ君の方から俺の前にやって来て

「えと…此花先生!これからよろしくお願いします!!それと、さっきの事ですけど……僕頑張ります!!」
「あ…ああ、よろしくな。俺もさ…新米も良い所だからお互い協力して…な」
「そうなんですか!?それでもあんな立派な話が出来るなんて…凄いです!!」

う゛っそんな…そんな澄み切った眼で見ないでくれ……もう俺のライフは0だぞ!!

「ふぉっふぉっふぉっ宜しく頼むぞ此花先生……そうそうもう一つ」

これ以上何かあんのか!?もう止めてくれ!!と心の中で叫ぶと……ジジイは俺の方ではなく神楽坂と近衛さんの方を向いた
俺の魂の叫びが届いた?……いや、ジジイに限ってそれは無いな

「このか、アスナちゃん暫くはネギ君をお前たちの部屋に泊めてもらえんかの?まだ住むとこ決まっておらんのじゃよ」
「げ」
「え゛……」
「ええよ」

ジジイの下から神楽坂、ネギ君、近衛さんのリアクション………近衛さんも結構大物だな

「学園長……別に俺の部屋で良いじゃないっすか?何でわざわざ女子生徒の部屋に?」

確か生徒の部屋って1〜3人部屋であの2人の部屋の並びは全部2人部屋の筈、幾ら子供って言っても流石にそれは狭いだろう
その分俺の部屋はネギ君一人入ってもかなりの余裕がある……ほぼ毎週土日に3〜5人の客が来るがな

「そうねあの部屋なら………ってダメっ!!絶対にダメっ!!!」
「は?」

本日2回目の「は?」が出た。なにせ、いの1番に賛成すると思われた神楽坂から反対されたのだから

「何でだ?今思いっきり嫌そうなリアクションしてたじゃないか?」
「だ…だって、その…噂通りだったら……」
「噂?」
「……とにかく!!アンタの部屋はこのガキに良くないからダメなのよっ!!」

一体どんな噂なのか知らんが後で朝倉と腹を割って……割らせて話をする必要があるようだ

「では決まりじゃな」
「いやっ…それはっ…」
「頼んだぞい、このかや」
「うん、わかったえ」
「学園長っ―――――――――――――!!!!!!」



……

………

―――2003年2月24日 午前9:05 麻帆良学園女子中等部 2−A教室前

「あ…う……なんだかキンチョーしてきました」
「あー気持ちは分かる…とりあえず深呼吸でもしてみたらどう?」
「ほら、ここがあなたのクラスよ」

今、学園長室を出てネギ君と俺が受け持つ事になった(俺の場合は「なってしまった」)2−Aの教室のドアの前に
俺、しずな先生、ネギ君の3人が居る
因みにネギ君はどっからどうみてもガッチガチに緊張していて、ドアの隙間や窓越しに中の様子を伺っている

「………んっ」

どうやらネギ君は中に入る決意を固めたようだ右手でほんの少しだけ開いたドアをノックして中に入ろうとした
ん?「少しだけ開いた」?……ヤバイっ!!

ひゅう―――カッ!

俺はネギ君の頭に黒板消し(ご丁寧にチョークたっぷり)が当たる前にハイキックでドアと対面の壁まで蹴り飛ばした
背が低くて助かったよ……しかしネギ君に当たる前に黒板消しが空中で止まった気がする
だが蹴った拍子に幾分かチョークの粉がかかったらしくネギ君はせき込みながらフラフラと前に出た

「ゲホゲホ…いやーあははなるほどゲホひっかかっちゃったなあゲホ」

若干ネギ君が何言ってるか分からんかった、とりあえず俺は犯人と思われる鳴滝姉妹と春日に視線を向けると
案の定3人は向けられた瞬間ビクッとなって俺から眼線を逸らした、放課後になったら指導室に放り込んでやる
そしてネギ君は俺が目を離した瞬間次のトラップ―――足元に張ってあったロープに足を引っ掛け

バインッ

「へぶっ!?」

ゴッ―――ガボンッ

「あぼっ!!」

ゴガガガガガ―――ドンッ!!

「ああああああああ―――ぎゃふんっ!!」

かなりの勢いでこけ…はしなかったが前転を繰り返し、途中水の入ったバケツや吸盤付きの矢が当たり最後は教壇に激突した
2−Aの面々は最初大笑いしたものの、相手が子供と分かると直ぐに集まり怪我の心配をした
ハナっからこんな事すんじゃねえよ……ったく。それと雪広何かお前目がアブナイぞ、ぶっ飛んだ時の刀子さんみたいに

「君!?大丈夫!?」
「ゴメン、てっきり新任の先生かと思って」

今更何だが……コイツ等鬼か?かなり情け容赦無いぞ

パンパン

「いいえ、その子があなた達の新しい先生よ。さ、自己紹介してもらおうかしら……ネギ君」
「は、はい……え、ええと、あ、あの…ボク……ボク……
 今日からこの学校でまほ…英語を教えることになりましたネギ・スプリングフィールドです
 3学期の間だけですけど、よろしくお願いします」
「…………」

一瞬の静寂、しかし俺としずな先生はこの後どうなるか分かっているので………両耳を塞いだ

「「「「「「「キャアアァァ!!!かわいいぃぃ―――――」」」」」」」」

クラスの約8割が絶叫、ネギくん速攻で囲まれて質問攻めに合う……朝倉、自重。因みに残りの2割はと言うと

「……マジなんですか?」
「ええ、マジなんですよ」

長谷川さんみたく信じられずしずな先生に確認したり

「フン……」

エヴァみたく興味無さそうにしている

「ホントにこの子が今日から担任なんですか―――?」
「こんなカワイイ子もらっちゃっていいの―――!?」
「コラコラあげたんじゃないの、食べちゃダメ」
「ホントに先生なんだ―――」

……今の受け答えって「肯定」の意味なのか?ま、なんとか無事(?)に歓迎されているし直ぐ仲良くなるだろう
なんて考えてると桜咲が近づいて来た

「あの…此花先生はどうして此処に?」
「今日から2−Aの副担任になったよ……ジジイにまたハメられてな」
「は、はあ……大変ですね、此花先生」
「まあこれから頼むわ、桜咲」

この騒ぎの中話かけてくれた桜咲に感謝の意味を込めて頭を撫でてやった

「はい…此方こそよろしくお願いします……」

すると不機嫌なエヴァや、冷やかす龍宮の視線とは違う感じがする視線をネギ君をもみくちゃにしてる現場の方向から感じた

「………?」

相変わらずもみくちゃにされ、所々キャーキャー聞こえるがそんな感情が篭った視線じゃなかった
例えるならあの場の雰囲気の「真逆」の感情を感じたんだが…

「どうしました?」
「あ?いや、何でも無い」

桜咲の声で俺は我を取り戻し、そのまま空返事気味に返事を返したが……何だか妙に気になるんだよなあ





あとがき

原作1話がまだまだ終らないS’です
今回出てきた「噂」ですが、コレはネギが始の部屋に来ないようにする為に考えました、「ココは変えなくていいかな〜」…的な理由で
それと最近MGSPWに大分ハマっております、ウチは3人兄弟(俺、弟、妹)なのですが、全員ハマってますwww
……しかしPSPが2台しか無い>< 大体俺がソロって大型兵器とかモンスターと戦っています

でわ ノシ

〈続く〉

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