―――午前5:30分 エヴァ宅内 リビング

タカミチが来たか…今日中に来るのは予想していたがこんなに早いとはな

「…茶々丸」
「はい、改ざんした映像は後3分程で完成します」
「念の為だ、ハカセや超レベルの人間でもそう簡単に見破れない様にしろ、少し時間がかかっても構わん」
「了解しました、そうしますと完成まで8分程になります」
「分かった、完成しだい直ぐに送れ」
「はい、マスター」

一先ずは良い、だがこれからだ…

「始、突然だがこれからお前はどうしたい?」
「ん?いきなりだな?力量の差で感知…って所で止まってなかったっけ?」
「正直まだ説明し足りないが…タカミチとお前が会ってしまった以上、これから直ぐにでも動かないと色々面倒になってくるだろうな」
「あのMrダンディってそんなにヤバい人なんか?確かに隙とか全然無かったけど…」
「高畑先生はマスターと私が在学している麻帆良学園女子中等部2−Aの担任で学園内で2番目の実力を持つ魔法先生でもあります」
「…マジでか?」
「マジだ、「悪魔化」したお前なら兎も角今のままなら確実に秒……瞬殺だな」
「うわ……」
「そして、当然その上…1番目の実力者であるジジイにも繋がっている
 タカミチの報告次第では、直ぐにでも私の所に連絡…若しくは使いの人間を寄越すだろう」

……私の不注意だ、『侵入者』を『私』が処理した以上、向こうからの動きが無いわけでは無かったのに
場合に因っては始を拘束、そのまま調べられ悪魔化の事もバレるのは時間の問題…
いや、「悪魔」と言う時点で嫌悪するヤツらもいる、最悪は…

「―――おーい、エヴァー?」
「………っっ!?な、なんだ?始?」
「なんだも何もねーよ、呼んでるのにずっと黙り込んでんだからな」
「油断大敵ダゼ?ゴ主人?」
「考え込むのは仕方あるまい、今お前のこれからを…」
「――その事なんだけどさ、こっちからその爺さん所出向くってのはどうだ?」
「なっ!?いいか始!?今こそ私はお前を認めているがジジイやタカミチ他大勢はまだお前を「侵入者」としか認知してない!!
 そんな中お前がジジイの所へ行くって事が如何言う事か分かっているのか!?」

…わざわざ分かりきった行動に出て如何する!?
それに私は認めない、何も知らぬ奴らが始を「悪魔」と決め付ける事など…

「…ありがとうな」

なっ!?何故礼など言う?
それにアイツと似たような目で見るな!!あ、あ、頭まで撫でおって///

「スゲー心配してくれてるってのは分かるけどさ
 下手に俺をこのまま匿ったりしてたらエヴァや茶々丸、チャチャゼロにもいらん迷惑がかかっちまうだろ?
 そんな事になったら俺は嫌だし何より俺のプライドが許さねえんだよ」
「…プライドだと?」
「どんなことがあっても「立ち止まらない」1歩だろうが半歩だろうが前に出る…ってな
 だからココにいるよりその爺さん所に行って、一つ話を付けたいんだ」

始…お前…

「…まぁ、先手必勝で相手の頭を抑えるってのが俺の性にあってるっつー話なだけなんだけどさぁ」
「コノ台詞ガ無ケレバ良カッタノニナ…」
「現状で有効な戦術の一つと判断します…始様」
「半空気と化した二人が何を言うっての……あと、茶々丸。俺に様付けしなくていいから…って言うかしないで下さい」

考えているのか考えていないのか…いや、考えるのはよそう始はアイツと同じで止めたって聞かなかそうだからな
―――それに始を見ていると何故か大丈夫だと信じられる気がする

「フッ…いいだろう。茶々丸、動画の作成を止めて変わりにジジイにこれから向かうと連絡しておけ」
「了解しました、マスター」
「オ?何カ悪イコトヲ考エタ顔ダナ?」
「…一応言っとくけど、話し合いだからな?エヴァ?」
「あぁ、大丈夫「話し合い(脅迫)」だろう?始?」





―――午前6:20分 麻帆良学園女子中等部 学園長室前

「ここだ、始」

エヴァと茶々丸をバイクに乗っけて(エヴァ後ろ、茶々丸サイドカー)行く事十数分
俺の目の前に両開きのデカい扉を「学園長室」の札が目に入った

「この学校、外観も凄いけど中もハンパ無いなぁ」

正直な話、俺は面喰らっていた
この学校大きさもさることながら、外観内装もハンパ無い…更に言ってしまえば学校どころか都市全体がハンパ無いんだが…

「フン、無駄に金をかけているだけだ」

エヴァは不機嫌だ、まぁ15年近くも通わされてれば毛嫌いもするだろうなぁ…

「兎に角、中に入るぞ―――」

――バンッ!!

おぉっ、蹴破ったよこの人…ってか一発で両方の扉開けちゃったよ

「来たぞジジイ」

何か更に不機嫌になってるなぁ…エヴァの奴
ま、とりあえず俺も中に入るか

「失礼します」

俺に続いて茶々丸も入る
思ったよりも大きい部屋だ…お、高畑さん発見
軽く苦笑いしてるな、まぁ蹴りで扉開けりゃあなぁ…で奥に鎮座する人物に思わず目がいった

「すご…髭と眉マジ長ぇ…」
「なっ!?」
「ふぉ!?」
「ええっ!?」
「……」

思わず言っちまったが…ヤバかったかな?
で…そこの3人(エヴァと爺さんと高畑さん)何故に俺を物凄く見てる?

「い、いや見るところ其処か?始?もっと見る所あるだろう?後頭部とか!後頭部とか!!後頭部とか!!!」

エヴァさんや後頭部一択かい?ってかそんなにおかしいか?

「見ての通り俺も生れつきこの髪と目の色だから…
 後頭部が長いって人も居たって別に気にし…「ふぉおおおおおおおっっっ!!」なぁっ!?」

いいっ!?いきなり泣いてる!?マジで!?

「何と…何と素晴らしい若者なんじゃあぁぁぁぁぁ!!!」
「あ…あの〜?学園長?」

高畑さんが何とか話しかけようとしている…
うん、俺にはぜってぇ無理なので頑張って泣き止ませて下さい

「ええぃ!やかましいぞジジイ!!!と言うより気持ち悪いから直ぐに泣き止め!!!」
「…なんじゃ、感動の涙も満足に流させてくれんのか?エヴァ?」
「そんな涙(モノ)見ても嫌悪しかせんわ!」

ヒデェ…悪だなエヴァ

「…フッ、そう褒めるな///」

俺褒めたの!?今!?

「まぁいい、ジジイなぞ弄っても話が進まん。コイツが此花始だ茶々丸から聞いているな?」
「うむ、聞いておるよ―――挨拶が送れてしまったの、此花君。
 ワシがこの麻帆良学園の学園長をやっておる近衛近右衛門じゃ」
「―――っ!?
 …はい此花始です…宜しくお願いします」

…おいおい、急に雰囲気変えるなっての

「ふぉっふぉ、そう緊張せずにな」

ごっつい気当りぶつけてきたのに笑うってか…

「…で?彼を連れてきて何を話すんだい?エヴァ?」
「まてタカミチ、今話す……始(クイクイ)」
「ん?どした?」

…ナイショ話?

「昨日、さくら通りで侵入者と戦闘あり私が対処したと報告したな?」
「うむ」
「実際に戦闘し、召喚されてたヤツらを還したしたのはこの始だ。私は終った後現場に到着したんだよ」

グイッ

「おぉっ」

エヴァの前に差し出される俺…そんな俺を学園長と高畑さんはガッツリ睨んでます…
……ん?まだ見ているのが居る…?隠れてんのか?それともカメラ?

「どうしてそれをさっき言わなかったんだい?エヴァ?」

ごもっともです、さっきエヴァん家来てましたもんね高畑さん

「フン、あの時は始の存在を隠すつもりだったからな…だが…始がお前達と「話し合いたい」と言ったから連れてきただけだ」
「…本当かね?此花君?」
「間違いないです、学園長。…ただこんなに大人数ってのは予想外だったんですけども」
「ふぉっ!?」
「…気のせいだったら良いんですけど、後4、5人居ないっすか?またはカメラが4、5台?」
「…気付いておったのかね?」
「エヴァに引っ張られた時から妙に視線感じちゃって…」
「ふぉっふぉ」

学園長が右手を上げるとぞろぞろと人が集まって来た、人数は5人
ヒゲグラ、黒人メガネ、良い人そうなメガネ、メガネ美人、シスター…何だこのメガネ人口の多さは!?

「良く気付いたのぅ此花君、気付かれないと思っておったのだがの」
「…まぁ、俺もそれなりな人生歩んでますから」

――キッ

…俺に突き刺さる視線(主に黒人メガネ)がキツくなった、答え間違えた?
ほぼ毎日ケンカ売られて、買ったり買わなかったりしてるのって普通じゃないと思うんだけどなぁ

「始、気にするな…コイツ等は基本的にこういう奴等だ」

……更にキツくなったよ、火に油ってこういう事を言うんだな

「ま、その位にしてよエヴァ…で此花君?話し合いの前に此方から幾つか質問してもいいかな?」
「どうぞ」
「では先ず、麻帆良に来た目的は?」
「高畑さんに話した通りですよ、目的は「就職活動」…まぁ、今こーゆー事になってますが」

そう言えば…こうなったのはあの2人のせいなんだよなぁ
チクショウ…思い出したらまた腹立ってきた…

「君、そんな話が本当に通用すると思っているのかね?」

隠れていたメガネの一人がメガネを直しながら急に話してきた…メガネだけじゃ分かんないな、黒人の人だよ言ってきたの

「と言われても俺としては嘘なんて言って無い分けで…」

あー…どうしようか?
こういう人の…ってか俺のいう事を頭っから信じないタイプは昔から慣れっこだけど…
「平和的」な対応ってのはイマイチやった事が無いんだよなぁ

「学園長、彼が昨日学園内で戦闘を行っていたのが本当なら先ずは彼を拘束するべきと思われます
 彼は此方の味方になるとは限らないのでしょう?となれば然るべき処置も検討すべきでは?」

おいおい…何勝手に話進めてる?黒人メガネさん?

「こっちは就職活動だって言ってんじゃないっすか、履歴書だって書いて来てあるんだし、見ますか?」
「そんなもの幾らでも書ける、証拠なんぞにならんよ」

いやいや、そこまで言うか?仕舞いにゃ泣くぞ俺

「……いい加減にしろ、キサマ」

俺が泣く前にエヴァがキレたか…でも俺の為に怒ってくれるのは正直嬉しい

「今は始とタカミチ、そしてジジイとで話している
 それなのに横槍を入れ、勝手に話を進め、更に始のいう事を何一つ信じずに拘束しろだと!?
 今直ぐ始を侮辱するその汚い口を閉じて下がるがいい、下郎!!」
「な…」
 
おぉっ、言い啖呵切るねぇスッキリだよ
黒人メガネさんもこれで大人しくなるだろうし話も続けられるな

「…君こそ自分の立場が分かっているのかね!?『闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)』!?
 15年前に賞金は消えたが君が600年間犯した罪は何一つ消えてはいない!
 君は麻帆良に保護か何かされていると思っているだろうが、実際は…」

…あぁ!?ンだコラぁ!!

―――ガァンッ!!!

「「「「「「……っ!?」」」」」」

近くにあった机を踏んで…ってか半分に割った

「…おい、オッサン」
「オっ!?」

まぁ、机の事なんてどうでもいい…これ以上言わせてたまるかってんだ…

「アンタはエヴァの…何を知ってる…?」
「何…って『闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)』だぞ!?君だって知ってるだろう!?」
「んなモンじゃねぇ…エヴァの中身をどれだけ知っているかって聞いてんだよ!!!」

――左肩が急に熱くなってきて段々と身体中に熱が回ってきだした、んで目の前のヤツは妙に目が泳ぎだしている
だけど知った事じゃない、今はコイツに言わなけりゃならねぇ事がまだまだあるんだ

「俺は昨日エヴァと友達(ダチ)になってほんの少しだがエヴァの事を聞いた!
 そして感じた!確かに『悪』って言われる事をしてたが『悪党』じゃねぇって!!」
「………始さん」
「……」
「それをウワサしか聞いていない、エヴァから何も聞こうとしないヤツがエラそうな事を抜かしてるんじゃねぇ!!
 分かったらエヴァを汚す臭せぇ口を閉じて大人しくしてな!!!」

ビビってんのかどうか知らねぇが、黒人メガネの方は黙り込んだ…だけどもまだだ、まだ言い足りねぇ!

「其処までじゃっっ!!!!!
 ガンドルフィーニ先生、エヴァはワシや高畑君そしてナギの友人じゃ。そのような発言は取り消して貰いたいのう」
「……申し訳ありません、学園長」
「此花君も此処はこれで収めてはくれんか…?」

学園長は左肩を叩きながら申し訳無さそうに俺に話して……左肩?
ヤバ…『悪魔化』しかけてたか…

「はい…」

右手を痣がある左の鎖骨当りに当てて意識を落ち着ける
何でか分かんねぇけど、コレが昔から気持ちを落ち着けようとするときのクセなんだよ

「それと…神多羅木先生、ガンドルフィーニ先生、明石教授、葛葉先生、シスターシャークティ
 これからはワシ達だけで此花君達と話をする故、席を外して貰いたい」
「…分かりました、学園長」

ヒゲグラの人が黒人メガネの人を連れて行くと残りの3人も続いて部屋から出て行った
…で、エヴァと茶々丸はじ――――っとこっちを見ていた
特にエヴァは怒っているんだか泣きそうなんだか分からない目をしてたので…

「あー…悪いエヴァ…」

左肩を指差しながらエヴァに謝る

「……気にするな説明する手間が省けた」

その一言を交わすだけで満足だったのかエヴァはさっきとは正反対な良い顔だった
………やれやれ、やっと話進められるんだな





――「アンタはエヴァの…何を知ってる…?」
――「んなモンじゃねぇ…エヴァの中身をどれだけ知っているかって聞いてんだよ!!!」
――「俺は昨日エヴァと友達(ダチ)になってほんの少しだがエヴァの事を聞いた!そして感じた!
   確かに「悪」って言われる事をしてたが「悪党」じゃねぇって!!」

先程始さんがマスターを庇い魔法先生に怒鳴られた言葉…私がマスターにお仕えして初めて聞いた言葉…
始さんは私よりもマスターとお話した時間は短い筈なのにマスターの事を理解されたのですね
これが人と人との繋がりと言うのでしょうか?
…ですが、きっと私には持つことも理解することもできないのでしょう…
AIである私に「心」というものは無いのですから………











……ですが今私が始さんに対して持っているこの感覚は一体何なのでしょうか?





あとがきー

ヤンキーです、始は今回ヤンキー入ってます
これ書いている時ちょうど24時間TVでイモトさんが走りだしてました…が
俺、殆どってか全く見ないんですよねぇ><(…じゃあなんで書いた?)
SSの設定考えてる方がかなり楽しいですしw

〈続く〉

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