注意書き:作中にて歌詞らしきものが書かれていますが、そちらは『ガヤトリー・マントラの英訳』と判断して掲載しております。ご了承ください(もし、それでも危険だよ、という場合はメールにてご一報くださると助かります コモレビ


―――???内

…まぁ、何事にも不可解な事という物はあるものだ
魔法だって科学だってまだまだ解明出来ていない物があるのだから…

だが…

「何故キサマが今此処で悠々と食事なんぞしているのだ――――――!!!」

ドンッ!!

「痛てぇ!!」
「マスター、お食事中に『魔法の射手(サギタ・マギカ)』はお止め下さい」



……

………

30分後…

あれから更に食べ…いや、「喰らう」という表現の方が正しいのかもしれんな
アイツの前に置かれた料理という料理が瞬く間に消える
最近テレビ番組ので「フードファイター」とか「大食い王」とかいうのを見ていたが
あんなのとは比べ物にならん程速度で目の前の料理を平らげている
しかも見た限り一度も詰まらせたり咽たりしていないし零したりもしていないのだ

「行儀が良いんだか悪いんだか分からんな…」

などとつい呟いてしまう

それから30分後、コイツは満足しきった顔で茶々丸の淹れた茶を啜っている。

「あ〜っ美味かったぁ〜っ!ご馳走様!!コレ全部キミが作ったの?マジで美味かったよ!」
「恐れ入ります」

茶々丸は相変わらずの無表情だが、何処と無く嬉しそうな表情をしていた…
珍しい…いや、初めて見る表情だった

「さて、食い終ったのならそろそろこちらの用事に移させてもらおうか…」

気持ちを切替え、私の事を『魔法の射手』を当てたのにも関わらず無視して食事を続けていた
慇懃無礼な侵入者に尋問を始めた





約2時間前 ???内 寝室

――Light shines on the heaven

  the earth the spirit light brings glory and grace

  May it open your eyes to the truth Shanti Shanti……

歌が聞こえる…ガキん時から夢の中で聞いてきた歌…
歌っているのが誰なのか、ここは何処なのか、周りに居る奴等は誰なのか…全部分からない
でも、皆大切だってのだけはハッキリと分かる



……

………

歌が終わる…終わるといつも俺は歌っていた女の子に声をかけようとして…そこで…意識が……

「―――っ!!」

…目を覚ますとここは南国でした。

「………いやぁ〜やっぱり昼までゆっっっっくり寝ていられるっていいよなぁ〜」

ざざぁ〜…

「聞こえるは小波の音、目に眩しくは太陽の煌き…あぁ俺は幸せだなぁ〜…」



……

………

「…ってぇ!!ドコじゃあココはぁ!?更にこの服何!?何時着替えたの!?」

そんな一人でノリツッコミをしている場合じゃねぇ
俺は確かにライダースーツ着てたはずなのに今は…

「背広か?コレ?」

枕元の小机に置いてあるジャケットと今自分が着ている物を見て思わず喋った
「なんでだ?」と考えている最中に後ろから扉をノックする音が聞こえた

「失礼します。」

そう言って入って来たのは緑色の長い髪の女の子
メイド服…は眼福故に置いておくとして…耳のところの…ヘッドフォン?はイマイチ服装と合っていないような…
でも俺女の子の服装なんて全然わかんねーし、最近の流行とかなんだろうかなぁ?
…などと考えていると

「何か御用ですか?」

なんて聞かれてしまった、まぁジロジロ見ていれば当然か

「ん?あぁ、こk…」

ぐうぅぅぅぅぅ・・・

「分かりました、お食事の準備を致しますので少々お待ち下さい。」

…と緑髪の女の子はノーリアクションで部屋から出て行った
良過ぎるタイミングで鳴ったな、今

「何かリアクションしてくれよ、すっげぇハズいんだからさぁ」

などと言っても周りには誰も居る訳なく

「はぁ、とりあえずメシ食うまで大人しく待ってるか」

さっき迄寝ていたベッドに腰掛ける俺
状況整理…なんて考えたが腹はそんな余裕を与えてはくれない

ぐうぅぅぅぅぅ・・・

「うあぁぁ…」

空腹に追い討ちをかける腹の虫の声

「もー…無理かもー…」

そのまま後に倒れてベッドに横になる
真っ白な天井を見ながら…

ぐうぅぅぅぅぅ・・・

「もぅいいよ…お前…」

なんて事をさっきの緑髪の女の子が来るまでずっと繰り返していた…



……

………

どのくらい経っただろうか…
腹の虫の声と格闘しながら「たれ〇んだ」以上にベッドの上でたれていた…

コンコン…

「失礼します」

控えめなノックと一緒にさっきの女の子が入って来た

「お食事の準備が整いました、こちらへおこし下さい。」

そう言われて案内された食堂で待っていた物はこの上なく美味そうな中華料理だった。
チャーハン、春巻、小龍包、マーボー、蒸餃子…etc
限界まで空腹だった俺はその料理の中に「ル○ンダイブ」を可能とする位嬉しさで舞い上がった

「いっただきま〜す!!!」

料理の前で喋ったのはそれだけ
それ以降の口の仕事はただひたすらに「喰う」だけだった
といっても喉に詰まらせたり、咽たり、零したりはしないし味わってもいる
…ただ食べるスピードが人より幾分か早いだけ



…本当だよ。



途中、いきなり頭に何か当てられて思わず

「痛てぇ!!」

なんて叫んじゃったもんだから危うく零すところだったよ(汗)

デザートの杏仁豆腐を食べ終え、緑髪の女の子が淹れてくれたお茶を飲み干して

「あ〜っ美味かったぁ〜っ!ご馳走様!!コレ全部キミが作ったの?マジで美味かったよ!」
「恐れ入ります」

と、きちんと感謝の気持ちを込めて挨拶を交わした
無表情…っぽかったけども、何処と無く嬉しそうだったなぁ
料理も全部美味かったし、言うこと無しだ。

「さて、食い終ったのならそろそろこちらの用事に移させてもらおうか…」

お?何時の間に居たんだ?この子?
身長からみて10歳位だろうか、腰くらいまで伸びている綺麗な金色の髪の毛
不敵な微笑みを浮かべながらも氷の様に鋭く冷たい蒼い瞳
…こりゃ只のお子様じゃあねぇな

「単刀直入に聞く、キサマは一体何者で何処から来た?」

『下手にはぐらかすと殺られる』そんな言葉が頭の中で聞こえた気がした

「名前は此花始、年は21」
「…で?」
「麻帆良に来た目的は…就職活動だな」

言い切った瞬間場の空気が一気に変わった

「…ふざけているのか?私が聞きたいのはキサマの力の事だ!」
「!?」
「フン、分かり易いヤツだな。」

…何であの子が俺の『悪魔化』の事を知ってるんだよ

「簡単な事だ、キサマは「あの姿」で暴れていたのさ。尤もキサマの他にもう4匹程いたがな」

うわ…マズいな、見られてたってのか…
目撃者が居て俺の記憶が無いって…?冗談じゃない…

「少し確認したいが良いか?」
「何だ?言ってみろ?」
「その4匹はどうなった?」
「…私は知らん、…茶々丸?」
「はい、召喚された4匹の鬼は全て致死量のダメージを受けた後、契約が解除され帰還しました」
「…本当か?」
「はい、上空から撮影した映像があります。ご覧になりますか?」
「…ああ」

そういうと茶々丸(?)ちゃんの両目から光が出て映像が投射された
…ロボットだったんだなこの娘

「…隠しても無駄って事?」

映像には俺の他に話にいた4匹の鬼(らしき物)と目の前の娘がいた
…でもボッコボコにやられてたぞ、俺。

「そういう事だ、話して貰うぞキサマの力の事をな」

先程よりも更に視線が鋭く、冷たくなっていく…こんな10歳位の女の子が飛ばせる視線じゃねえだろ
…でも目を見ていると信じれる、どういう事だか知らねぇけど信じても大丈夫と思えてくる
恐らく「悪い」娘みたいだけども「悪党」とか「外道」の類じゃあないって事なんだろう




…断じて幼女趣味って訳じゃねぇからな





「…話すってか俺だって教えれる程知っている訳じゃ無い
 昔…ガキん頃何度かマジでブチ切れた時にあの姿になってた…んで」

俺は左の肩口が見える様にYシャツの首元を広げて見せた

「何だ?刺青…じゃないな、そこから僅かに魔力を感じるぞ」
「コレもガキん頃からあるんだが、あの姿…『悪魔化』って俺は呼んでるんだけども
 その『悪魔化』する時に必ずここが熱くなるのを感じるんだよ
 多分コレが原因か何かだと思うんだけども…」
「『悪魔化』?キサマ自体が悪魔ではないのか?」

結構真面目に聞いてる?…でも俺が悪魔として見られてないか?

「言っとくが俺は一応人間だからな
 まぁ孤児院入る前の記憶が無いし、本当の両親も分からんから微妙って言えば微妙だが」
「ふむ…そうなると憑依や融合の類なのか?」
「いや、そうじゃなくて……」
「…元々悪魔だったのが人間にさせられた…?」
「人の話聞いてるか?」

見られてる…俺、絶対悪魔として見られてる…



……

………

なんて話を続けていること1時間
先に我慢の限界に来たのは向こうの方だった

バンッ!

「悪魔でだったらキサマは何だと言うのだ!?全く説明が付かんではないか!?」

…とか言う俺も極めて限界に近かった訳で

「だ〜か〜ら〜、怪しさ満点だろうけども
 俺は人間だって言ってんだろ〜が!!人の話聞かねぇお子様だなぁ!!」























―――ピシッ!―――


その瞬間…世界が凍った。




「……きっっっっさまぁぁぁぁぁぁ!!!!!
 よりにもよってこの私の事を「お子様」だとぉぉぉぉぉ!!!!!」

凍った世界を打ち砕く様な怒声、だが頭に血が上った俺には大して意味が無く

「はっ!鏡の前に立ってよぉっ〜く自分の姿を見てみな!!」

なんて言い返す

「どうやら本気で死にたいらしいなぁ!!!キサマァ!!!!!!」
「聞き分けの無いお子様はしっかり躾けてやるよ!!!!!」
「ナンダ?ナンダ?ズイブント楽シソウジャネーカ?」

3.5頭身くらいの人形が酒瓶持って入場。だが頭に血が上った俺には(以下略)

「姉さん」
「オウ、妹ヨ。ズイブントゴ主人ヲ怒ラセル奴ガイタモンダナ」

貴女方姉妹だったんですか、しかも小さい方が姉。だが頭に(以下略)

「ヨウ、ゴ主人。ズイブントゴ機嫌ジャネーカ」
「何だ!?チャチャゼロ!!今はキサマの相手をしているヒマは無い!!!」
「ソンナニ怒鳴ルナヨ、ソコノ客人モ災難ダナ。ケケケ」
「お子様「キサマァァ!!」の躾くらい食後の腹ごなしに丁度いいっての!!!」
「ケケッ、元気ダナ。ナラ表デ決着ツケタラドーダ?コノママジャ埒アカネーゼ?」
「「上等だ!!!!!」」

俺達は完璧にハモった後表に向かって歩いて行った。





チャチャゼロside

「ケケケケケッ、2人トモ素直ナモンダゼ。ケケケケケッ」
「………」
「妹ヨ、オレタチモ行クゼ?」
「…マスター、何て楽しそう」
「…イイ性格シテイルナ妹ヨ」

〈続く〉

〈書棚へ戻る〉

〈感想記帳はこちらへ〉

inserted by FC2 system