あくま【悪魔】
1:人の心を惑わす魔物。
2:非常に悪い人間。極悪人。


悪魔と魔法先生 プロローグ

―――2002年10月某日 麻帆良学園都市外れの橋の上 夜

ブロロロロロ…

不思議と車通りの無い橋の上を赤いバイク(サイドカー付き)1台が走っている

スピードを出す…というよりは夜の帳が降りた景色を楽しむかの様な走り





バイクに乗った青年side

―――キィッ

「ふーっ…」

バイクを止めフルフェイスのヘルメットを脱いだ
少し疲れてたんで大きく息を吐き両腕を上に伸ばした…ゴキっていったぞ

「いー景色だなぁ」

俺が前を向くと街の灯りが目の前一面に広がっていて、とても幻想的だった

「函館だったけか?あそこも夜景が綺麗らしいんだよなぁ」

…北海道には行った事が無いから単に知っているだけなんだけど

「ま、上手く働き口が見つかりゃあ何時でも見れるか
  
 …ったくあのクソオヤジ、無計画で追い出すなってーの」

麻帆良に就職を目的でやって来たは良いんだけど
来ることになった原因が…また…なぁ…

「さてさて、早く寝る所確保しねーと………2日連続野宿はイヤだからな」

ヘルメットを被り再度バイクを走らせる
これからの出来事に期待や不安を抱きながら街へ向かった











―――だが
この麻帆良に来てしまった事で
2度と触れる事の無かった自分の『秘密』との対峙し
そして『何』として生きる事を選び、決意する事になるとは
この時は思いもしなかった…















走り始めてから2〜3分が経った頃
俺の200m程前方に男と思われる人物が…2人居る

「雨合羽か?アレ?顔も隠れててわかんねぇなぁ…」

2人とも頭から足元まですっぽりと隠れる雨合羽のような物を着ていたので
性別がいまいち分かり辛い
因みに俺の視力は4.5(軽く異常な数字)で夜目もバッチリ効く

「…まぁ、とりあえず邪魔だな」

このまま進んでしまうと確実に轢いてしまうので俺はバイクを止めて前にいる2人に声をかける

「おーい!歩いてる所悪いんだけどさー!」
「「!!」」

声をかけられた途端2人はかなり驚いたらしい
バッ!!という効果音が付きそうな勢いでこっちを向いた

「なぜ!?此処に!?」
「人払いの結界は!?」

デカい声出すなよ…ってか会話かみ合って無い?

「ど、どうする…?」
「見られたからには…」

オイコラ、人を無視して話をしているんじゃないっての!
ったく、対向車も来て無いしかわして行くか

「あぁ、いいよいいよ。対向車も来て…」

―――ドッ!!

『…ないから避けてくよ』と言って俺は2人を避けて進むつもりだった
だがそれは急に腹から感じる『熱さ』に阻まれた…

「なっ…」

―――見たくない、見るな―――

だけど俺はその『熱さ』の正体を確かめる為に自分の腹部を見る
何時も見慣れている自分の体から生えている、いや突き破っている『モノ』
その『モノ』には俺の物と思われる赤い液体…

「…ガフッ」

頭で理解してしまった瞬間、喉の奥から口の中に襲ってくる鉄の味
それは口の中では収まりきらずに外に出てしまう。

「ツイてなかったな、兄ちゃん。」

後ろから声が聞こえたと同時に突き破っている『モノ』が引き抜かれていく

―――ズズッ

引き剥かれた、と感じてから急に体の力が抜けていきバイクから落ちた
腹は相変わらず熱い、またその熱さはだんだんと広がっていく

(…何……が…?)

理解できない、理解する時間もない
腹から広がっていく熱さを感じると同時に俺の体が冷たくなっていくのを感じている

(ヤ…バ…)

そのまま眼を閉じれば……それで終る










…はずだった







―――ドクン―――

≪煉獄の子、喰奴よ≫

左肩口から線状の青白い光が広がる

―――ドクン、ドクン―――

≪敵を引き裂き、屠り、喰らえ≫

体を包むかの様にヴェール状の光が包む

―――ドクン、ドクン、ドクン―――

≪お前達煉獄の修羅が、飢えから逃れ生き延びるには他に無い≫

熱い……飢えが、渇きが身体(カラダ)精神(ココロ)をを侵す!!




「ガアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」





2人組(侵入者)side

刹那、男の姿が『人』から『異形の物』に変わる
体躯は2回り程大きくなり体の色も『人』ではありえない色、黒や水色がかった灰色になり
青白い線状の光が体中を走っている
胸、首、頭には鎧の様な殻が付いており頭の殻は目元まで覆い隠し
口は牙がむき出しになって今にも喰い付つかれそうだ
そして肘から先が裂けている腕の中からそれぞれ1本づつ『剣』が生えていた

「ヒッ、ヒッ、ヒッ…」

相方は目の前の状況に対し完全に怯えきっている
正直俺も取り乱してはいないものの現状を把握しきってはいない

「て、ててて転送しろ!コイツを鬼共と一緒に麻帆良の中へ!!」
「わ、分かった!」

返事をした相方が何やらブツブツと喋ると
男の姿をしていた奴、そして鬼達の周りに仕掛けてあった呪符から光が溢れ、辺りを包み
光が消えた頃には何事も無かったかの様に奴や鬼達、バイクまでも消えていた

「お…終った…か?」

ポツリと確かめるかのように呟いた

「に、逃げるぞ!俺はあんなバケモノなんて知らない!!早く此処から…」

…と、言い切る前に目の前が暗くなり、そのまま意識を失った






スーツの男性side

「…間に合わなかったか」

僕は明石教授から「侵入者あり」の連絡を受けてここまで来た…までは良かったけれども
どうやら手遅れだったらしく既に『何か』をされた後の様だ

「高畑です、申し訳ありません……間に合いませんでした『何か』をされた後の様です
 …ですが侵入者は確保しました」

僕は直ぐ携帯で学園長に連絡を取った

「はい、この2人を引き渡した後に都市内の捜索を開始します」

通話を切った後、おもむろに煙草を取り出し火を付け
紫煙を吐きながら一言呟いた

「一体…何をしていたんだ…」

…当然分かる筈もなく、そのまま僕は侵入者2人の拘束を始めた

〈続く〉

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